全球観察

全世界の様々なトレンドを記録していきます。

書評

書評『起業家』

ライブドアと同時代に創業したサイバーエージェントの創業者による少し不思議な本でした。というのも、最新の決算を見る限り創業以来のインターネット広告営業はかなり強くamebaブログ等のメディアは売上・営業利益はそうでもないのに、前者に依存するままで…

書評『ゼロ』

2013年、出所後のホリエモンの最初?の本です。一般向けというよりはファン向けの本のような感じでした。 彼の「合理性」へのこだわりは、母親や高校時代までの体験へのアンチテーゼだったのかな、という風に感じました。 中学のときに、通ってた塾のITシステ…

書評『生涯投資家』

村上ファンドのことを知りたくなり読んでみましたが、結構面白かったです。 PBRが1未満の会社に「株主還元」を要求するイメージのあった村上ファンドですが、この本を読むと「社会の資金循環」というのをある種の大義としていたようです。 実際に、この本に…

書評『粉飾決算vs会計基準』

詳細を知らない事件が多く一回読んだだけでは理解が難しいですが、どちらかといえばそれぞれの事件のイメージが覆されるような面白い本でした。 長銀・日債銀 金融債で資金調達していた銀行が、1980年代以降不動産事業に融資をするようになり、多額の不良債…

書評『ヒルズ黙示録・最終章』等

2005~2006年頃の「ニッポン放送株買収」「阪神・阪急の合併」「村上ファンドのインサイダー事件」「ライブドア事件」について面白く読めました。 最後のページに書いてあることに凄く納得感がありました。2004年頃にGoogleがIPOして2005年にFacebookのシリー…

書評『敵対的買収とアクティビスト』

固有名詞が多いどころか知らない事例も多かったですが、何となく面白そうで買ってみたら、凄く面白かったです。ビジネス系の弁護士の方が書く一般本は案外面白いのかもですね。 結論としては、「良い」敵対的買収/株主アクティビズムと「悪い」敵対的買収/株…

書評『スタートアップ 起業の実践論』

日本での起業の方法論というか事例集みたいな本でした。日本だとex官僚をどう巻き込むか、は結構大事な気がしますが、そのへんは特に記載なしでした。マネーフォワードさんの初期の銀行スクレイピングを何故セーフに出来たのか、タクシー広告は本当に効果あ…

書評『起業のエクイティ・ファイナンス』

資本政策に関するトピックが網羅的に記載されており、非常に面白く読みました。非上場の会社でリストリクテッド・ストックを使ってこんなことも出来るのか、と少しビックリしました。それにしてもフェイスブック社は資本政策の失敗の教科書というのも不思議…

書評『爆速成長マネジメント』

企業の成長に関する様々なトピックが掲載されており、面白かったです。ひとまず、アメリカ(のシリコンバレー)ではここまで企業の成長に関する暗黙知を体系化して方法論として確立しているときに、無邪気に戦いを挑んでも勝てる気はしません。何故ごく一部の…

書評『実践スタートアップ・ファイナンス 資本政策の感想戦』

企画としてすごく面白いと思いました。ただ、「感想戦」の主な内容は創業メンバーの持ち株比率と従業員インセンティブであった印象で、その評価額で合っていたのか、他のVC・事業会社から資金調達したらどうなっていたか、同時期にx国で同業種のy社と比べる…

書評『起業家と投資家の軌跡』

前回読んだ『ベンチャーキャピタル全史』と大体同じ内容でしたが、アメリカの産業史なども触れられており興味深かったです。ベンチャーキャピタルのパフォーマンスに関してはこちらの本の方が定量的な分析をしているかと思いました。それにしても、一部のベ…

書評『ベンチャーキャピタル全史』

カタカナの固有名詞が多かったのですが、結構面白く読めました。 捕鯨、紡績、鉄道、と近世・近代日本にも類似の産業がありましたが、それを推進する組織づくりが全然違ったのが印象的でした。 ロックフェラー等のファミリーオフィスも背景にあったようで(p1…

書評『Spotify』

以前に、NetflixでSpotifyの創業期を描いた『ザ・プレイリスト』を見ていたので、結構面白くサクッと読めました。 ・各国のケータイ通信会社と上手に契約して、地方都市や田舎にユーザー層を広げることが出来た。 ・Facebookとの連携は色々ギクシャクした面…

書評『Airbnb Story』

Airbnbに関する歴史、論点は大体あるような本でした。 Airbnbは間違いなく旅のあり方を変えてくれたと思いますが、どこまで持続可能なビジネスモデルなのかは疑問に思うところもありました(多くの良好な住宅エリアは民泊禁止になってしまったのでは、1~2回の…

書評『堤康次郎と西武グループの形成』

堤康次郎氏の半生・ビジネスに関する多角的な考察です。 彼の土地への執念は結局研究者にも分からなかったようです。 もっと知りたくなったこと: ・第一次大戦後の不動産バブルをどう感じたのか ・後藤新平の東京復興計画をどれぐらい事前に知っていたか ・…

書評『鎌倉広町の森はかくて守られた』

成功する住民運動(年表)とはどういうものか、わかるような本でした。 鎌倉広町の森はかくて守られた 作者:鎌倉の自然を守る連合会 港の人 Amazon 以前読んだ『西武王国鎌倉』でちらっと広町の件が触れられていたので気になっていたのですが、読んで良かった…

書評『西武事件』

以前読んだ「西武争奪」をもっと歴史的に捉えるような本で、とても面白かったです。「所有」と「占有」という観点、西武事件は時代が切り替わるタイミングの象徴という観点も興味深いものでした。 この頃から、銀行主導よりはファンド主導の会社改革が一般的…

書評『ふたつの西武』

「淋しきカリスマ堤義明」と内容が結構被りましたが、西洋環境開発がマンション開発で住民訴訟を抱えていたなど知らないことがいくつかありました。 プリンスホテルやスキー場はアジア圏(特に雪が降らないエリア)の観光客に結構人気だと思います。ただ、義明…

書評『堤清二とセゾングループ』

非常にまとまっていて面白い本でした。 急成長 ・西武百貨店の1964年度売上が378億円、1970年度売上が1300億円(p159)・西友ストアーの1964年度売上が76億円、1970年度売上が1200億円・西武百貨店の銀行借り入れは200~300億円。西武鉄道の債務保証。・西友ス…

書評『わが記憶、わが記録 - 堤清二×辻井喬オーラルヒストリー』

面白い本でした。群馬の赤城自然公園ができる経緯(p152)が特に印象的でした。一方で、つかしんに関するところは何を言っているのか正直良くわかりませんでした(p214)。 経営者のメンタル維持も簡単なことではない、とつくづく思いました。 以下メモ帳です: …

書評『堤清二 罪と業』

結構コンパクトに的確に分かりやすくまとまっている本でした。 p80とp89に出てくる「感謝と奉仕」。資源も資本もない社会で助け合いながら生きていたときの発想に見えます。もしくは当時の農村出身者の基本的な倫理だったのでしょうか。ただ、これを企業ガバ…

書評『ポスト消費社会のゆくえ』

すごく相性の良い二人だなと感じながら読みました。以前、セゾングループのリゾート開発がダメダメだったという本を読みましたが、その答えがp180~181に書いてありました。というのも、そうしたリゾートはヨーロッパに影響された「長期滞在型施設」であるの…

書評『西武争奪』

面白かったのですが、なかなか難しかったです。 以下メモ帳です:・コクドは、プリンスホテル株を100%、西武鉄道株を64%保有していた(2005年10月時点。p182)。西武鉄道株に関しては43.16%保有と有価証券報告書には記載されていた。・コクド株を堤氏は36%保有…

書評『セゾン文化は何を夢みた』

「セゾン文化」というものが良く分からなかったので読んでみました。 「セゾン美術館」の展示を今していたら結構面白かった気がしました。誰かの収蔵品の展示ではなく、まさに現代アートの展示をしていたのがユニークかと思いました。その最も輝かしい展示が…

書評『西武王国 鎌倉』

この本は七里ヶ浜海岸での開発計画(新駅計画、海岸環境整備事業)のようなものに対する問題提起として始まっています。それを説明するなかで、小さな既成事実が大規模開発につながる観点から、西武グループやその他不動産開発会社が西鎌倉や逗子ハイランドな…

書評『セゾンの挫折と再生』

toC向けのサービスがある分野で成功したときに、何を思ってか総合toC向けのサービスになろうとするとして隘路に陥るパターンが書いてあるような本でした。 セゾングループは、西武百貨店で成功を納めた後に、 ・スーパー(西友) ・コンビニ (ファミリーマート…

書評「セゾン 堤清二が見た未来」

ファミリーマート、パルコ、無印、ロフト、クレディセゾン、吉野家、リブロ、J-WAVE、イープラス、西友、西武百貨店...とたまに使うサービスの源流を知りたくて読んでみました。 その当時の何かに対する「アンチテーゼ」でこれらのサービスは生まれたようで…

書評「IKEA超巨大小売業、成功の秘訣」

イケアの歴史だけでなく、スウェーデンやヨーロッパのビジネス環境を知れるオトクな本です。 イケアはスウェーデンでも中国でも団地との相性が良かったのが面白かったです。標準的な住宅が増えたことで、標準的な家具の需要も増えた、みたいな感じでしょうか…

書評「7 POWERS――最強企業を生む7つの戦略」

非常に面白い本でした。 あるビジネスが継続的にキャッシュフローを創出するのは経験的に7つの力があるからだ、とのことですが読んでいて確かにそうだなと感じました。 強いて追加するならば、「規制」も重要かなと思ったりしました(e.g 電波法に守られるテ…

書評「Measure What Matters」

非常に参考になる本でした。 目標管理には1960年代にHPが作ったと言われるMBOがあったりOKRも組織によりいろいろなやり方があると思いますが、どのようなやり方が良いのかのヒントがたくさんあるように感じました。 個人的に良いなと思ったのは、全員のOKRを…