全球観察

全世界の様々なトレンドを記録していきます。

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

書評『レッドアローとスターハウス』

鉄道や住宅などの「下部構造」が政治的な考え方にどのように影響するのか、当時の西武沿線の団地内コミュニティーが政党の影響下で変質した経緯など、いろいろ示唆的な本でした。 特に、団地コミュニティーの議論が、団地や地域生活の改善というよりは、「電…

書評『土地と日本人』

司馬遼太郎さんがここまで土地公有化論者だったとは知らず、結構びっくりしました。 日本の近世史を土地所有の観点から学びなおしたくなりました。 ・江戸時代、大名や武士は土地を大量所有していなかった。百姓や町人(e.g 紀伊國屋文左衛門,淀屋辰五郎)が土…

書評『土地の神話』

面白い本でしたが、いろいろな知識が必要で上手く消化出来ませんでした。通勤電車に乗って会社に出勤する都市生活の苦痛がどのようにして何故生まれたのか、少し解像度は上がりました。当時のイギリスの多種多様な田園都市構想は工場経営者から発案されてい…

書評『私鉄郊外の誕生』

写真が多く、楽しめました。私鉄・電力会社・不動産会社が相互に絡み合って郊外開発されていた時代の雰囲気を感じられました。 それにしても戦前の郊外住宅地計画は結構しっかりしていますね。大学の誘致パターンが多い印象でしたが、オフィスの誘致にあまり…

書評『森ビル・森トラスト 連戦連勝の経営』

いろいろ細かい数字が載っていて面白い本でした。森ビルの圧倒的なクオリティーを支える背景について少しだけ理解が深まりました。結局、パルコは森トラストの何が嫌だったのでしょうか。 森ビル・森トラスト 連戦連勝の経営 作者:小沼 啓二 東洋経済新報社 …

書評『ユートピアの消滅』

理想的な社会とは? ということを、著者の経験に基づいて散文的に記載されている本でした。 ・ベルリンの壁の崩壊により「解放感」。自分がユートピアだと思っていたものが崩壊したのに何故か。「遠いところへの憧れの対象を設定せずにいられない心の構造から…

書評『モンベル 7つの決断』

ビジネスの教科書のような本でした。事例がどれも面白く、シンプルでした。 リーダーシップ、製品開発の方法論、流通網の構築、ブランドの重要性など、学ぶべきことが多かったです。ところで、この本では7つの決断を説明する際に、他の色々な決断がさりげな…

書評『堤清二のイベント戦略』

1984年10月6日に有楽町西武が開業しましたが、その2年後に出版された本です。 イベントドリブン商法(「話題」→「有名」→「収益」)や当時の雰囲気が分かり、結構面白かったです。 全体的に、「ソフトと小売の融合」のようなことを模索している印象を受けまし…

書評『開幕ベルは鳴った』

渋谷区役所付近の大成建設社員寮であった場所が駐車場となっていましたが(一説によると大成建設による地上げが成功した)、そこに1973年に渋谷パルコが開業しました。もともとはボーリング場を作る計画からスタート(p111)したようですが紆余曲折を経てファッ…

書評『西武事件』

以前読んだ「西武争奪」をもっと歴史的に捉えるような本で、とても面白かったです。「所有」と「占有」という観点、西武事件は時代が切り替わるタイミングの象徴という観点も興味深いものでした。 この頃から、銀行主導よりはファンド主導の会社改革が一般的…

書評『淋しきカリスマ堤義明』

事実ベースの内容で結構面白かったです。財務諸表はどうやって入手したのでしょうか。 1966年の結婚式、康次郎氏の死後2年経っていたのに、実の母親を結婚式に出席させなかった判断が不思議でした(p121)。 コクドが企業会計上は配当できる利益を出すが、税法…

書評『ふたつの西武』

「淋しきカリスマ堤義明」と内容が結構被りましたが、西洋環境開発がマンション開発で住民訴訟を抱えていたなど知らないことがいくつかありました。 プリンスホテルやスキー場はアジア圏(特に雪が降らないエリア)の観光客に結構人気だと思います。ただ、義明…

書評『堤清二とセゾングループ』

非常にまとまっていて面白い本でした。 急成長 ・西武百貨店の1964年度売上が378億円、1970年度売上が1300億円(p159)・西友ストアーの1964年度売上が76億円、1970年度売上が1200億円・西武百貨店の銀行借り入れは200~300億円。西武鉄道の債務保証。・西友ス…

書評『わが記憶、わが記録 - 堤清二×辻井喬オーラルヒストリー』

面白い本でした。群馬の赤城自然公園ができる経緯(p152)が特に印象的でした。一方で、つかしんに関するところは何を言っているのか正直良くわかりませんでした(p214)。 経営者のメンタル維持も簡単なことではない、とつくづく思いました。 以下メモ帳です: …

書評『堤清二 罪と業』

結構コンパクトに的確に分かりやすくまとまっている本でした。 p80とp89に出てくる「感謝と奉仕」。資源も資本もない社会で助け合いながら生きていたときの発想に見えます。もしくは当時の農村出身者の基本的な倫理だったのでしょうか。ただ、これを企業ガバ…

書評『ポスト消費社会のゆくえ』

すごく相性の良い二人だなと感じながら読みました。以前、セゾングループのリゾート開発がダメダメだったという本を読みましたが、その答えがp180~181に書いてありました。というのも、そうしたリゾートはヨーロッパに影響された「長期滞在型施設」であるの…

書評『西武争奪』

面白かったのですが、なかなか難しかったです。 以下メモ帳です:・コクドは、プリンスホテル株を100%、西武鉄道株を64%保有していた(2005年10月時点。p182)。西武鉄道株に関しては43.16%保有と有価証券報告書には記載されていた。・コクド株を堤氏は36%保有…

書評『セゾン文化は何を夢みた』

「セゾン文化」というものが良く分からなかったので読んでみました。 「セゾン美術館」の展示を今していたら結構面白かった気がしました。誰かの収蔵品の展示ではなく、まさに現代アートの展示をしていたのがユニークかと思いました。その最も輝かしい展示が…

書評『西武王国 鎌倉』

この本は七里ヶ浜海岸での開発計画(新駅計画、海岸環境整備事業)のようなものに対する問題提起として始まっています。それを説明するなかで、小さな既成事実が大規模開発につながる観点から、西武グループやその他不動産開発会社が西鎌倉や逗子ハイランドな…

書評『セゾンの挫折と再生』

toC向けのサービスがある分野で成功したときに、何を思ってか総合toC向けのサービスになろうとするとして隘路に陥るパターンが書いてあるような本でした。 セゾングループは、西武百貨店で成功を納めた後に、 ・スーパー(西友) ・コンビニ (ファミリーマート…

書評『アマゾンVSウォルマート ネットの巨人とリアルの王者が描く小売の未来』

アマゾンに関してはある程度知っていることが多かったですが、ウォルマートがここまでデジタルに投資しM&Aしまくっている会社だとは知らずビックリしました。テクノロジーへの投資が毎年5000億円程度のようです(p76) ウォルマートのECサイトを色々触ってみま…

書評『運は創るもの』

97ページの札幌一号店を見て、良くこんなに大きくしたなと思わざるを得なかったです。221ページの工場運命進出も何というか意図したというよりは正しく運を創っている感じがしました。212,233ページにあるように北海道の中小企業がスイス銀行にCBを引き受け…

書評『昭和の東京郊外 住宅開発秘史』

今の日本の住宅地が何故こういう風になっているのか、少し分かるような本でした。 住宅広告に関してはヨーロッパの住宅広告という本を読んで以来独特の面白さを感じてはいますが、本書にたくさん挿入されている昭和30年代の住宅広告の雑さを見るとびっくりす…

書評「平成金融史」

思ったよりも知らない金融機関が多く出てきてビックリしました(それだけたくさんの金融機関がこの期間に潰れたか統合されたということです)。 比較的知っていた1997年~2019年までの山一破綻、大蔵省接待汚職事件、長銀破綻、竹中プラン、リーマンショック、…