全球観察

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書評「7 POWERS――最強企業を生む7つの戦略」

非常に面白い本でした。

あるビジネスが継続的にキャッシュフローを創出するのは経験的に7つの力があるからだ、とのことですが読んでいて確かにそうだなと感じました。

強いて追加するならば、「規制」も重要かなと思ったりしました(e.g 電波法に守られるテレビ局やケータイ会社、薬事法に守られるドラッグストア)。

ネットフリックスの事例が多かったですが、「ネットワーク中立性」で参入障壁が作れたかとか妄想したりしました。

あと、やはりnetflixが宅配レンタル事業をしていたのもストリーミングサービスを展開することを前提としていたみたいですね。「宅配レンタル事業」でユーザー獲得・ユーザーデータを分析するプロセスの形成・人材獲得・ブランディングなどで一定程度パワーを形成していたなか、オリジナルコンテンツの配信という「発明」やインターネット速度の高速化などの技術革新という「外部環境」があり強力なパワーとなった、というようなイメージでしょうか。
ただ、netflixはエンドロールがゆっくり楽しめないと感じており「netflixで見る」体験を作りきれなかった気もしています(同じコンテンツがamazonnetflixとdisneyであったときにどれほどの方がnetflixを敢えて選ぶのでしょうか)。
netflixといえばビックデータのイメージもありますが、作品作りに関しては確かに作品によってハマるときはハマるので上手にデータを活用できているのかもしれません(ただ、結局長時間を費やして得たものは何だったのかみたいな感覚もあります。netflixのドラマを複数回見る方はどの程度いるのでしょうか)。
見たい作品に関してはnetflixのレコメンドよりも、誰かのtweetやブログ記事とかの方が自分にとっては大事です。良いnetflixの紹介ブログ記事が少ない気もするので、そこをテコ入れして欲しかったところです。

netflix.shopなどのECの方向性、ゲーム配信の方向性、広告プランなどの新しい視聴プランの方向性がどうなるのか引き続き見ていきたいです。


1981年8月12日のIBM PC発売までにインテルが「規模の経済」「ネットワーク経済」「乗り換えコスト」のパワーを獲得していたことが、その後の強力なキャッシュフローの創出につながった、という指摘もタイミングの重要性を感じられて興味深かったです。

いつか原書で読んでみたいです。