カタカナの固有名詞が多かったのですが、結構面白く読めました。
捕鯨、紡績、鉄道、と近世・近代日本にも類似の産業がありましたが、それを推進する組織づくりが全然違ったのが印象的でした。
ロックフェラー等のファミリーオフィスも背景にあったようで(p115)、ヨーロッパのファミリーオフィスはベンチャーキャピタル産業までは形成されなかったのも示唆的でした。
アメリカでも商業銀行はリスク投資をする能力は必ずしも無い(p153)、多くの新興企業は商工ローンなり不動産担保融資がメインだった(p340)、あたりは日本ぽいのですが。
1978年頃のエリザ法改正で年金資金もベンチャーキャピタルファンドに投資可能になるあたりが日本と決定的に違う感覚なのでしょうか。
あと、富士通社の社内闘争のストレス?で1974年に51歳で亡くなった池田敏雄 とIBMを退社して3回起業して93歳で亡くなったアムダールの違いを考えたくなりました。ソニーの盛田氏が金融産業にこだわりがあった背景にも興味が出てきます。
日本の場合、新規産業をどう作っていくかの国家戦略があまりにも雑過ぎると思いました。よくその雑さで一時期この本に出てくるインテルとかを圧倒した半導体産業を作れたな、という不思議な気はします。でもやはり長続きはしなかった理由も分かる気がしました。なお、1972年設立の京都エンタープライズデベロップメントが日本初のVCのようですが、8年で解散しています。
ソフトバンクを始め、楽天・サイバーエージェント・エムスリー・zozoとかアメリカの同業他社とは違い?ベンチャーキャピタルをほとんど使わなくて個人のつながりか銀行融資でここまで来たのはある意味凄いことなのかもしれません。アメリカだと毎年のIPOの10%ぐらいはVCによる投資を受けているようです(ただ、アメリカ企業に限定すると40%ぐらい?)。
ベンチャーキャピタルがべき乗的なパフォーマンスになるのは何故なのか、それに対する洞察はどういうものがあり、そのためにどういうガバナンス体制なのか、とかはよく分からなかったです(主なVCのIRR)。あと、1986年のパススルー税制改正の影響も知りたかったです。
https://en.wikipedia.org/wiki/Samuel_Slater
https://en.wikipedia.org/wiki/Waltham-Lowell_system
https://en.wikipedia.org/wiki/Gideon_Winans_Allen
https://en.wikipedia.org/wiki/Henry_Phipps_Jr.
https://en.wikipedia.org/wiki/William_Henry_Crocker
https://en.wikipedia.org/wiki/Andrew_Mellon
https://en.wikipedia.org/wiki/J.H._Whitney_%26_Company
https://en.wikipedia.org/wiki/Small_Business_Administration
https://en.wikipedia.org/wiki/American_Research_and_Development_Corporation
https://en.wikipedia.org/wiki/William_Henry_Draper_III
https://en.wikipedia.org/wiki/David_Marquardt
https://en.wikipedia.org/wiki/Arthur_Rock
https://en.wikipedia.org/wiki/John_Doerr
https://content.time.com/time/subscriber/article/0,33009,864856,00.html
https://www.reuters.com/article/venture-capital-sequoia-returns-idUSL1E8H4ECM20120604
https://www.generalist.com/briefing/kleiner-perkins
https://www.quora.com/How-many-people-are-employed-in-the-US-Venture-Capital-Industry