全球観察

全世界の様々なトレンドを記録していきます。

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

書評『ブランド王国 スイスの秘密』

日本と同じような条件で近代化をすることになったのに、結果が結構違うのが興味深かったです。特に、「教育」の違いが不思議です。資源が無く海外で稼がなければならなのいのに、日本は何故か個性を無くした軍隊っぽくなってしまいました。 強い自国通貨政策…

書評『日本の近代 11 企業家たちの挑戦』

明治初期の起業、今の大企業の源流、のようなものが少しわかるような本でした。 以前、日本の金融制度は土地本位制であるというような本を読みましたが、どちらかというと著名人に出資してもらった株式を担保に銀行から借りるような株式担保金融を重視してい…

書評『自治体の“台所"事情 財政が厳しい"ってどういうこと? 』

前半の内容が面白く、文章も読みやすかったです。福岡市がようやく社会資本整備ができるようになったのが1993年なのはなんでなのでしょうか。 「義務的経費」の減らし方、「経常的経費」の減らし方はどうやるのでしょうか(あと、生活保護を窓口で断る、子供…

書評『ゆとりある国・日本のつくり方―ストック型社会転換マニュアル』

面白い本でした。 メモ: ・高度経済成長期にとりあえず今の資金で手に入る住宅を作り、土地価格上昇で次の家に住み替えるフロー経済的住宅観が形成された p130 ・江戸時代の住宅は解体・部品の再利用、災害時の備蓄まで視野に入れていた p137 知りたいこと: …

書評『国土が日本人の謎を解く』

もう少し国土と日本人の考え方のパターンを分析した本を期待していました。特に、地域差を知りたかったです。 メモ: ・四季の変化志向と些末化の罠 ダイソンのルンバやアップルのiPhoneのようなイノベーション ・城壁都市カルカソンヌの全体利益優先 ・日本…

書評『不動産の価値はコミュニティで決まる 土地活用のリノベーション』

いろいろな事例が興味深いです。 サブリース物件やその他安易な賃貸経営が失敗に終わり街にも悪影響であること、都市の価値の一つである匿名性とコミュニティはどう両立するか、子供が居ない同士でもコミュニティが成立しているのか、個々の物件でどのような…

書評『裏日本』

ある種の被害者意識も垣間見れますが、日本海側エリアから見た近代現代日本史として興味深かったです。日本が何故東京一極集中的な発展をしてしまったのか、考えるキッカケとなりました。 新潟港は江戸時代の開港五港の一つでもありましたが、外航船が入港出…

書評『東京の宅地形成史』

1988年に出版された、東京の宅地形成に関して的確にまとまっている本でした。新しいことを知るというより、知識の定着につながったかと思います。当時の地価高騰が問題意識にあり、その点も少し興味深いです。 大体20年ごとに宅地形成が盛んになるエリアが移…

書評『堤康次郎と西武グループの形成』

堤康次郎氏の半生・ビジネスに関する多角的な考察です。 彼の土地への執念は結局研究者にも分からなかったようです。 もっと知りたくなったこと: ・第一次大戦後の不動産バブルをどう感じたのか ・後藤新平の東京復興計画をどれぐらい事前に知っていたか ・…

書評『鎌倉広町の森はかくて守られた』

成功する住民運動(年表)とはどういうものか、わかるような本でした。 鎌倉広町の森はかくて守られた 作者:鎌倉の自然を守る連合会 港の人 Amazon 以前読んだ『西武王国鎌倉』でちらっと広町の件が触れられていたので気になっていたのですが、読んで良かった…

書評『江戸の不動産』

非常に面白い本でした。 以下メモです: ・抱屋敷は農地よりも年貢が高かった。農地の宅地並み課税(p91) ・切坪相対替は、相続時の大規模敷地の狭小地への分割みたいな発想で興味深かった ・拝領地でも建物があると没収されにくい? 占有重視の発想? p138 ・幕…

書評『都市の魅力学』

都市とは何か、イノベーションはどのようにして起こるのか、何故日本の地方都市は中途半端なのか、日本の地方税制にはどのような歴史がありどのような問題があるのか、等々大変おもしろい本でした。 まず、1880年(明治13年)の人口No.1が新潟であったこと、東…

書評『豊かさ幻想』

日本社会にあると思われる「開発イデオロギー」のようなものを言語化しようとした本で、大変興味深かったです。 日本の一人あたりGDPも1980年でもそこまで大したことなかったのに、かなり差をつけられてしまいました。そのわりに高度経済成長期が生み出した…

書評『ストック経済を考える』

1991年の段階での、フロー経済に対する懐疑で興味深かったです。一方で、日本が何故フロー経済になってしまうのかは、単年予算主義なり地方交付税なり政治の側面の分析も必要に感じました。 地価インデックス債というアイデアは面白かったです。リバースモー…

書評『首都圏大予測』

2012年、2014年、2017年と三浦さんの郊外分析を読みましたが、2020年のも読んでみました。 吉祥寺が流行を追いすぎている(p206)、旨の記載がありましたが、この本に関してもちょっとそんな感じもしました。 コロナもありましたが、2022年の地価上昇率からだ…

書評『土地はだれのものか―人口減少時代に問う』

デトロイト辺りは面白そうな再開発してますね。 www.youtube.com 旧工業地域だったマンチェスターの再開発と似ているような気もします。 www.youtube.com ルール工業地帯とか北九州市とかまとめて分析すると面白そうです。 ドイツは法制度よりは再開発手法が…

書評『日本の地価が3分の1になる』

三浦さんの2012年の郊外分析と2017年の郊外分析を読みましたが、そのあいだの2014年の郊外分析です。清水千弘さんとの共著です。 清水さんのパートで、「現役世代の負担率と住宅価格」の負の相関があることを示唆されていましたが、結局どういうメカニズムな…

書評『グレニッチヴィレッジ物語』

以前ある街の100年ぐらいの歴史を読みましたが、今回は400年ぐらいの歴史でした。 交通の利便性が良いところがたまたま家賃が安いみたいな稀有な条件が自然発生的に成立していたときに文化的な人が増えて面白い街になるみたいな下北沢みたいなイメージという…

書評『景観にかける』

国立市のあるマンション 建設を巡っての反対運動に関する本です。 結論箇所が興味深かったです: ある日、突然森が更地になり、病院、学校、工場の跡地に高層マンションが建つという現実を目の当たりにして、マンション問題とは「建築問題」というよりはむし…

書評『東京は郊外から消えていく』

10年前の2012年の段階で、郊外の衰退・都心回帰について指摘していた本です。今読んでも殆ど違和感ないです(2017年の段階の本についてはこちら)。まあ、スカイツリー効果を少し楽観的に見ていたかな、という感じぐらいでしょうか。 東京は郊外から消えていく…

書評『土地は誰のものか』

1993年に出版された本です。reinsなり日本の不動産政策・土地政策を作った綿貫さんが必ずしも東京の結果に満足していないのが印象的でした。国土利用が適切ではないのではないか、「関係人口」ならぬ「交流人口」という概念、法人の土地所有が増えていること…

書評『tokyo新川ストーリー』

東京都中央区の新川という場所に注目した歴史です。豊かな歴史や住民コミュニティーがありながら、高騰する都心部の土地価格のなかで、結局ありきたりな中途半端な街になってしまったような印象です。ある意味日本の街の発展のダメなところが凝縮されている…

書評『東京郊外の生存競争が始まった!』

2017年の段階で、郊外の衰退、都心回帰というトレンドを各街ごとの細かな分析から描いていて大変興味深かったです。 ところで、たまたま近くを通った多摩ニュータウンは学生が居なければ、もはやベットタウンどころか衰退まっしぐらだと思いますが、学生文化…

書評『評伝ロバート・モーゼス:世界都市ニューヨークの創造主』

この本に書いてあるスキームを全て理解は出来なかったのですが、モーゼス氏は、資金調達・施行管理が非常に優れていることを感じました。ただ、彼が最も優れていたのは想像力だったのかもしれません。それは公園や住宅など彼が手掛けた文化的な事業が未だに…