全球観察

全世界の様々なトレンドを記録していきます。

2023-01-01から1年間の記事一覧

書評『不思議の国のM&A』

2006年~2007年頃のM&AやTOBに関する議論が分かるような本でした。 三角合併導入に関する章を読んでいて、日本の経済界がこの頃から既に保身的であったのが印象的でした。経団連は三角合併導入の延期を申し入れたそうですが、欧米の同業他社との時価総額が違…

書評『ホリエモンの最後の言葉』

収監前にこのテンションで語れるホリエモンも凄いし、田原総一朗も何か良くわからないけど元気、みたいな本でした。 ひとまずライブドア事件 の2つの容疑のうち1つを勘違いしていた気もしました。運動会で「きをつけ!」の号令があったときに「きをつけ」を…

書評『GE帝国盛衰史』

2023年6月13日のGEの株価が106ドルぐらいなのですが、それは27年前の1996年頃の水準であり、23年前の2000年につけた高値の21%程度と、「衰退」してしまったGEの歴史に関する本です。 uberのときもそうだったのですが(ちなみにGEのイメルト元CEOはuberのCEO候…

書評『決戦!株主総会』

日本企業のガバナンスはここまで凄くなった、みたいな本でしたが、細部にダサい感じが漂っているような本でした。 指名委員会等設置会社のLIXILのCEOだった瀬戸氏は、指名委員会でCEOの退任を求められたとの電話を創業家・旧CEOの潮田氏からもらい、取締役会…

書評『解任』

以前読んだ粉飾決算に関する本でオリンパスが取り上げられていたので読んでみたのですが、正直少し期待外れかもしれません。少なくともCEOの器にある人の書いた文章ではないと思います。 外国人の生え抜き社員はどういう感じなのか、外国人取締役がいること…

書評『心を鍛える』

堀江氏の本と藤田氏の本を読んだので二人が対談するとどうなるだろう、ということで急いでその辺の本屋で立ち読みしてきました。 内容的には、すでに読んだ本とほとんど同じかなと言う感じでした。 藤田氏に関しては、abemaを何故、IGポートと連携したnetfli…

書評『起業家』

ライブドアと同時代に創業したサイバーエージェントの創業者による少し不思議な本でした。というのも、最新の決算を見る限り創業以来のインターネット広告営業はかなり強くamebaブログ等のメディアは売上・営業利益はそうでもないのに、前者に依存するままで…

書評『ゼロ』

2013年、出所後のホリエモンの最初?の本です。一般向けというよりはファン向けの本のような感じでした。 彼の「合理性」へのこだわりは、母親や高校時代までの体験へのアンチテーゼだったのかな、という風に感じました。 中学のときに、通ってた塾のITシステ…

書評『生涯投資家』

村上ファンドのことを知りたくなり読んでみましたが、結構面白かったです。 PBRが1未満の会社に「株主還元」を要求するイメージのあった村上ファンドですが、この本を読むと「社会の資金循環」というのをある種の大義としていたようです。 実際に、この本に…

書評『粉飾決算vs会計基準』

詳細を知らない事件が多く一回読んだだけでは理解が難しいですが、どちらかといえばそれぞれの事件のイメージが覆されるような面白い本でした。 長銀・日債銀 金融債で資金調達していた銀行が、1980年代以降不動産事業に融資をするようになり、多額の不良債…

書評『ヒルズ黙示録・最終章』等

2005~2006年頃の「ニッポン放送株買収」「阪神・阪急の合併」「村上ファンドのインサイダー事件」「ライブドア事件」について面白く読めました。 最後のページに書いてあることに凄く納得感がありました。2004年頃にGoogleがIPOして2005年にFacebookのシリー…

書評『敵対的買収とアクティビスト』

固有名詞が多いどころか知らない事例も多かったですが、何となく面白そうで買ってみたら、凄く面白かったです。ビジネス系の弁護士の方が書く一般本は案外面白いのかもですね。 結論としては、「良い」敵対的買収/株主アクティビズムと「悪い」敵対的買収/株…

書評『スタートアップ 起業の実践論』

日本での起業の方法論というか事例集みたいな本でした。日本だとex官僚をどう巻き込むか、は結構大事な気がしますが、そのへんは特に記載なしでした。マネーフォワードさんの初期の銀行スクレイピングを何故セーフに出来たのか、タクシー広告は本当に効果あ…

書評『起業のエクイティ・ファイナンス』

資本政策に関するトピックが網羅的に記載されており、非常に面白く読みました。非上場の会社でリストリクテッド・ストックを使ってこんなことも出来るのか、と少しビックリしました。それにしてもフェイスブック社は資本政策の失敗の教科書というのも不思議…

書評『爆速成長マネジメント』

企業の成長に関する様々なトピックが掲載されており、面白かったです。ひとまず、アメリカ(のシリコンバレー)ではここまで企業の成長に関する暗黙知を体系化して方法論として確立しているときに、無邪気に戦いを挑んでも勝てる気はしません。何故ごく一部の…

書評『実践スタートアップ・ファイナンス 資本政策の感想戦』

企画としてすごく面白いと思いました。ただ、「感想戦」の主な内容は創業メンバーの持ち株比率と従業員インセンティブであった印象で、その評価額で合っていたのか、他のVC・事業会社から資金調達したらどうなっていたか、同時期にx国で同業種のy社と比べる…

書評『起業家と投資家の軌跡』

前回読んだ『ベンチャーキャピタル全史』と大体同じ内容でしたが、アメリカの産業史なども触れられており興味深かったです。ベンチャーキャピタルのパフォーマンスに関してはこちらの本の方が定量的な分析をしているかと思いました。それにしても、一部のベ…

書評『ベンチャーキャピタル全史』

カタカナの固有名詞が多かったのですが、結構面白く読めました。 捕鯨、紡績、鉄道、と近世・近代日本にも類似の産業がありましたが、それを推進する組織づくりが全然違ったのが印象的でした。 ロックフェラー等のファミリーオフィスも背景にあったようで(p1…

書評『突き抜けろ』

楽天の軌跡を追った本です。個人的には結構楽しめました。 バルセロナやゴールデンステート・ウォリアーズにしろ、スポンサーになることでグローバル採用にはメリットが多そうなのが発見でした。 ただ、気になったのは、この内容を外国語に翻訳してどれだけ…

映画『NETFLIX 世界征服の野望』感想

U-NEXTで映画『NETFLIX 世界征服の野望』を見ました。約一年前にnetflixの創業期の本をふんわり読んでいたので、とても面白かったです。netflix関係の本を読む前に先にこの映画を見ておけば良かったです。ちなみに、つい先日netflixは創業期のビジネスである…

書評『Spotify』

以前に、NetflixでSpotifyの創業期を描いた『ザ・プレイリスト』を見ていたので、結構面白くサクッと読めました。 ・各国のケータイ通信会社と上手に契約して、地方都市や田舎にユーザー層を広げることが出来た。 ・Facebookとの連携は色々ギクシャクした面…

書評『Airbnb Story』

Airbnbに関する歴史、論点は大体あるような本でした。 Airbnbは間違いなく旅のあり方を変えてくれたと思いますが、どこまで持続可能なビジネスモデルなのかは疑問に思うところもありました(多くの良好な住宅エリアは民泊禁止になってしまったのでは、1~2回の…

書評『なぜ、TikTokは世界一になれたのか?』

なぜTikTokが世界一になったのか、がかなりよく分かる良い本でした。 個人的には、gunosyとかsmart newsが流行り始めた時期に、頭条をダウンロードしてそんなに大したことないなと思った記憶があるのですが、そこからいつの間にかTikTokが流行っていて、結構…

書評『ウーバー戦記』

文章うますぎて、翻訳も凄く良くて、あっという間に読んでしまいました。u-nextで先に「スーパーパンプト」を見ていたからかもしれませんが。 ジャーナリストが書いただけあって、Uberという会社の問題は結構まとめられているのだと思います。ただ、ここに書…

『ザ・プレイリスト』感想

Spotifyの創業期を描いた全6話のドラマです。 www.netflix.com 6人の異なる視点で物語を進めるというスタイルは結構斬新で面白かったです。 ネタバレになりますが、自分の追加調査含めて少しメモです。 ・パイレートベイという文脈のなかで産まれた。音楽が…

書評『UPSTARTS』

AirbnbとUberの興隆を描いた本です。 2009年頃から物語は始まりますが、AirbnbもUberも当時成功していない類似サービスがいくつかあったことが興味深かったです。そのなかでAirbnbやUberが圧倒的な成功を収めたのは何故か、と考えるとやはりリーダーシップが…

書評『CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃』

非常に面白い本でした。この年齢でこの本を書ける野口さんは只者でないと改めて実感しました(同時代をのんびり過ごしていた自分が少し情けなくなります)。 CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃 作者:野口悠紀雄 新潮社 Amazon 中国政府が「デジタル人民元」を発…

書評『アフター・ビットコイン2』

前作が面白かったので、その続きが知りたく3年後の2020年に出版された本も急いで読んで見ました。 アフター・ビットコイン2 仮想通貨vs.中央銀行 :「デジタル通貨」の次なる覇者 作者:中島 真志 新潮社 Amazon リブラの話題が面白かったです。香港のカレンシ…

書評『After Bitcoin』

今更ながら6年前に出たビットコインに関する本を読みました。 アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者 作者:中島 真志 新潮社 Amazon ブロックチェーンは同じデータを各ノードが保持する必要があるのが無駄、新しいブロックを追加…

書評『エンベッドファイナンスの衝撃』

エンベッドファイナンスについて、凄く分かりやすくまとまっていました。楽天がやってきたことに近い事例も多い気がしますが、ユーザー体験という観点から再定義するイメージでしょうか。 エンベデッド・ファイナンスの衝撃: すべての企業は金融サービス企業…