全球観察

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映画『NETFLIX 世界征服の野望』感想

U-NEXTで映画『NETFLIX 世界征服の野望』を見ました。約一年前にnetflixの創業期の本をふんわり読んでいたので、とても面白かったです。netflix関係の本を読む前に先にこの映画を見ておけば良かったです。ちなみに、つい先日netflixは創業期のビジネスである宅配レンタルを終了することにしたそうです。

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DVDの台頭というハードの変化や「延滞料金」への不満があったときに、なぜアメリカのカリフォルニア州以外ではこういうビジネスを誰も思いつかなかったのかは不思議でした。多分著作権とか法規制は関係ないと思います。ひとまず、「新しいコンセプトを楽しむ」みたいな感覚が面白かったです。ブロックバスターnetflixが勝った時期に、すぐにコンテンツダウンロードビジネスに着手したのも印象的でした。結局ダウンロードは著作権の関係で難しくコンテンツ配信となったわけですが。

DVD、インターネット、モバイルデバイスと新しいハードやインフラが生まれたときに映像コンテンツの供給のあり方を常に正しいタイミングで正解を出してきたのが凄いとしか言いようがないです。ちなみに、Blue-rayにnetflixはほとんどコミットしていないように見えます(ブロックバスターはBlue-rayに可能性を感じていた!?)。

netflixは最近新興国で価格を下げたり社債を発行して巨額コンテンツ投資したり、してましたが、「価格戦争」での勝利体験が結構大事だったのかなと思ったりしました。
こちらの記事によるともはやアメリカでは180ドルで顧客獲得して180ドルの利益を得るみたいな状態のようですが、新興国は顧客獲得コストのわりに利益が多いようです(そもそも論で毎月10ドルぐらいで映画やドラマを数本見れるコンテント代を支払った後の利益率が30%なのがすごいです)。なお、2018年の段階ではアメリカでの顧客獲得コストは$56だったようです。

netflixは過去コンテンツの投資をどう回収しているのか、ディズニーランドやユニバーサル・スタジオみたいな施設・物販でも作って回収するのか、と疑問に思っていましたが、このままだと世界の映像産業はnetflixほどには良い人材が集まらず良いコンテンツが作れずじわじわと弱体化して数年後には企業再編の嵐になっていたりするのかもしれません。
映画館の数とかも注目していきたいです。フランスの一部で始めているテレビ型の視聴スタイルもどうしていくのか気になります。ビンジウォッチングみたいな一気に見るスタイルよりも、新しい回ごとにSNSで盛り上がるスタイルの方がアニメとかには親和的な気もします。エンドロールが流れるとすぐレコメンドしてくるのが鬱陶しいと思っていたのですが、エンドロールを見るのは日本だけ!?なんですかね(netflixのA/Bテストの結果なのか、日本市場の細かいニーズに興味が無いのか)。コンテント供給側でnetflixインパクトは凄いのでしょうが、需要側の視聴スタイルの変化みたいのはどうなのでしょう。

日本でも広告付きの有料プランが発表されていますが、もしある日突然netflixが広告付きで無料で見放題になったらどうなるのでしょうか。

 

ブロックバスターは2010年に経営破綻しましたが、netflix含めて意外に過去のマニアックな映像コンテンツが見れないときがあるので、DVDレンタルという選択肢がなくなってしまうアメリカの資本主義は本当に健全なのか、という疑問もかすかにありました(アメリカの自販機レンタルの詳細は不明)。日本のTSUTAYA等のレンタル産業が店舗と宅配レンタルとストリーミングを上手に組み合わせたビジネスモデルを展開出来ない理由は知りませんが(ユニクロのEC商品の店舗受け取りが非常に便利だと思うので)。ブロックバスターの物理店舗路線は日本のゲオが最終形態だったのかもしれません。

 

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基本的に映画の内容は公開情報が多かった気がしますが、ネタバレと自分の追加調査を含んだメモです。

 

・リリース直前に映画愛好家のコミュニティーにリーチできており、リリースは順調だった。結構ドヤ顔で話していた担当者が1年しか在籍していなかった。netflixの解雇文化はこの頃からあったのか?

・創業当時はDVD販売とDVDレンタルの両方を行っていた。前者が主な収益源だった。両方のオペレーションは難しく、貸し方を変更するなどして後者に集中することにした。

netflixは、顧客獲得、コンテンツレコメンド、物流、配送、などのオペレーションを洗練させた。

・一番最初のオリジナルコンテンツはクリントン大統領の議会証言だった。

・ドットコムバブル崩壊後は40%の人員を削減した。迅速な資金調達の観点からも、この頃リード・ヘイスティングス氏がCEOになった。

・ブロックバスターは宅配レンタルサービスであるブロックバスターオンラインを2004年頃にリリースし、netflixと「価格戦争」に持ち込んだ。2006年には宅配レンタルを店舗でも返却できる「トータルアクセス」キャンペーンを推進した(このキャンペーンでは顧客が借りるたびに$2の赤字になったらしい)。その頃、netflixのユーザー数は600万人ほど、ブロックバスターオンラインは220万人ほどだったスーパーボウルで宣伝するなどして、netflixを上回る成長を見せた。

netflixはどうにか価格戦争を生き延びた。

・ブロックバスターは2006年頃からrevenue-sharingを増やしていた。

https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1085734/000119312507044360/d10k.htm

・ブロックバスターは投資家カール・アイカーンの委任状争奪戦のターゲットになっていた

・2007年にブロックバスターの新CEOはセブンイレブンから来たが、「トータルアクセス」を止めて店舗に経営資源を投入した。フランチャイズ店舗が「宅配レンタル」や「トータルアクセス」が契約違反であると訴訟を起こしていたBlu-ray拡充(この投資は回収できたのか?)。2010年に悪名高い「延滞料金」を復活させた。2013年11月に宅配レンタルを終了させた。2011年頃に動画配信サービスを開始していた。

・2007年頃からnetflixは動画配信サービスを開始。フランスのマイナー映画tell no oneが宅配レンタルのキューに積み上がっているのを見て、放映権を購入したりした。

2008年10月頃にstarzと新しい映画タイトルのコンテンツ供給契約を結び本格的に動画配信サービス開始。4年間2500万ドル程度の契約? ディズニーやソニーからライセンスを受けていたstarzからするとcomcastとの契約のようなもの。2012年に年間2億ドルの条件をstarzは突きつけたが契約更新されず。starzは自前でストリーミングを開始した。

・2010年にnetflixはディズニー傘下のテレビ番組とストリーミング契約を結んでいたが、2012年にストリーミング契約を結んだ。2017年に契約更新されず。ディズニーは自前でストリーミングを開始した

・2011年にHouse of Cardsとの契約を結んだケビン・スペイシーによると、他社は高額な契約金に躊躇していたがnetflixは気前なく大量の前払金を払った(総額100億円程度)。netflixはこの頃にはどのようなドラマ・映画が流行するかの機械学習モデルを内部で構築できていた?

・2011年頃の日経記事を見ると、netflixの動画配信での「価格戦争」にCATVやIPTV、オンラインレンタル事業者が巻き込まれている様子が描かれている。

・2010年にカナダ、2011年にラテンアメリカ、2012年にイギリスと海外展開は慎重に行われた。ライセンスの関係もある? apple store/google playのネットワークに上手く乗れたのかもしれない。日本への配信はオランダ法人との契約

https://fourweekmba.com/how-does-netflix-make-money/

 

・動画配信開始時のハードウェアはrokuぐらい(実際の機械。rokuはnetfluxからスピンオフ)? LGとの連携xboxとの連携PS3との連携 

netflixの時価総額はUS$1.7B程度だったが15年後の2023年には$143.8B程度の水準になっている。

amazon2006年中頃から動画配信サービスを開始していた。netflixAWS上に構築されている。

 

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