全球観察

全世界の様々なトレンドを記録していきます。

書評『アフター・ビットコイン2』

前作が面白かったので、その続きが知りたく3年後の2020年に出版された本も急いで読んで見ました。

 

リブラの話題が面白かったです。香港のカレンシーボードやシンガポールの通貨バスケット制にインスパイアされていたようです。

リブラ2.0がバスケット制を放棄した理由は、その維持が難しいからとありますが(p70)、シンガポールやSDRはどうしているのでしょうか。
米ドルに交換可能なフェイスブックポイントみたいな前払式支払手段を全世界で流通させるならば米国政府のドル覇権維持政策的に大丈夫そうな気もしましたがどうだったのでしょう(その場合、通貨発行益ビジネスは難しそうですが)。

まあ、2015年ごろから「Messenger Payments」で近いことはしていたようです。実際にアメリカの各州で送金免許も保有しています。

thebridge.jp

2016年頃にはアイルランドでも送金系免許を取得していましたが、2019年にヨーロッパでの個人間送金からは撤退しました。

www.ncblibrary.com

ただ、その半年後ぐらいに「Facebook Pay(今はMeta Pay)」がリリースされており、facebook内の購入に限っては日本でも使えるようです。いずれ全世界のMessengerなりInstagramなりWhatsAppなりでも使えるようになるのでしょうか。WhatsApp Payはインドとブラジルのみで使えるようですが、ザッカーバーグ氏によるとインドではUPIと連携して中国のアリペイみたいなことをしているらしいです。アメリカ国内の個人間送金はvenmoやzelleの方がシェアが多そうでネットワーク効果はあんまり働いていない気もします。

www.reuters.com

暗号資産で時価総額ビットコインイーサリアムなどが上位ですが、取引量は米ドルにペッグしているテザーなどのほうが多いのも興味深いです(p126)

 

https://coinmarketcap.com/ja/

 

CBDCの話題に関しては重複も多い気もしましたが、中国のデジタル人民元はかならずしもブロックチェーン技術を使わないらしい(p218)ことカンボジアのデジタル通貨・バコンにはソラミツという日本の会社の技術が使われていることなどが興味深かったです。結局デジタル銀行券にブロックチェーン技術を使わないならば偽造はどのように防止するのでしょうか。

 

CBDCを一般人が受領するために、中央銀行ではなく中間業者に口座を開設するにせよ、その中間業者は必ずしも銀行である必要はなく資金移動業的な業者で十分そうであり、そのとき銀行の金融仲介機能で信用創造を行なう経済システムはどうなるのか、詳しく知りたくなりました。

ところで、デフレ対策?として銀行券にマイナス金利を付与するならば、政府紙幣を発行しまくるとかはやはりダメなのでしょうか。

 

2日前の2023年3月30日のニュースですが、人民元決済によるLNG取引が中国・フランス間で成立したようです。米ドル覇権の行方はどうなっていくでしょうか。

www.afpbb.com

 

 

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