今更ながら6年前に出たビットコインに関する本を読みました。
ブロックチェーンは同じデータを各ノードが保持する必要があるのが無駄、新しいブロックを追加するときの計算に掛かる電気代が無駄、ほとんどのユースケースで中央データベースで良いのでは、ぐらいに思っていました。
ただ、「所有権データを分散型で管理する」(p123)ことで、証券決済(DVP決済)」や「国際送金」では大幅なコスト削減(e.g国際送金のリコンサイル業務)になる可能性があるというのが、興味深かったです。
そのときに、
・「オープン型かクローズド型」
・「コンセンサスアルゴリズム」
・「参加者の役割/権限」
・「マイニングへの報酬」
・「取引データの公開性」
などを上手に設計することで、高速で安全で省電力な決済システムを作れる可能性があるとのことです(p149)
また、そうしたブロックチェーン上の決済の進展によってはブロックチェーン上で中央銀行がデジタル通貨を発行した方が良い、という観点で「CBDC」の研究が各国の中央銀行で繰り広げられているとのことです。
金融政策の観点からも、時間や使用場所を限定できるような通貨を発行できるのは面白そうです。fed coinのように国民がデジタル通貨口座をもったときに、国債の配当などを上手に還元すること(シニョリッジ?)である種の社会保障政策になる気もします。
これまで日本銀行の「決済の未来フォーラム」でふるゆわに「CBDC」に関する議論をしていたようですが、財務省が2023年4月から本腰を入れて有識者会議を設置するようで、誰が選ばれるのかとか、他の国にはないユースケースがあるのか、どういう技術を使うのか(e.g nttのiown構想)?、かなり楽しみです。このような有識者会議が設置されるということは、つまりもう「デジタル円」が発行される道筋が通っているのだと思います。
いずれにせよ、「国際送金」「証券決済」「CBDC」で分散台帳的データベースを導入するときの入れ替えコストは大きいようです。それならば、中央データベースをもっと適切に設計することで何が起こり得るのか、の議論があっても良い気もします。