全球観察

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書評『成功は一日で捨て去れ』

ユニクロ本を読んで面白かったので、「柳井さんはなんでカジュアルファッションに使命を感じた?」「フリースブーム終了後に何した?」「欧米の郊外店での集客(そこでもチラシを使ってる?)」辺りを知りたく読んでみました。

SPAは全リスクを背負う必要があるが、「売れ筋商品」を見つける試行錯誤を何回でも出来る(p109)というのが興味深いです。ただ、組織として「未発見、未判断、未決定、未実行」(p136)になっていることに「脱サラリーマン化」など様々な表現で警鐘を鳴らしています。とはいえ、SPAの試行錯誤サイクルを回す組織に関する具体的な制度設計やKPIなどは良くわかりませんでした。個人的にユニクロは色が原色過ぎる気もするのですが、配色をガラッと変えたりしたらどうなるか、とかどういう感じで試すのかなと言うのはこの本を読んでも上手くイメージできませんでした。
ちょうどこの時期に東京ミッドタウンファストリの就職説明会に行ったのを何となく思い出しました。抽象的というかスローガン的という感じがしてユニクロも終わったな、みたいな印象だったのですが、そこから超絶成長していましたw
恐らくSHEINはSPAに最適な組織を作れたのでしょうが、ファストリの場合は、ある種のサラリーマン的な実行部隊を前提とした組織に柳井さんの天才的な直観が上手く組み合わさってここまで来たのかなというこの本を読んでの印象です。

「情報製造小売業」的なこともp149ぐらいに書いていました。この辺の記述を読んでファッションの表現は「正義」っぽいな、と思いました。ユニクロを着るということは「服の民主主義」「モジュール化された部品を使った自己表現」「環境配慮」などのメッセージを発信することに参加している、という感じでしょうか。

個人的に思うのは、自分を含めたユニクロを買うような層は、ファッションで表現することにどこまで興味があるのか、寧ろ面倒くさいと感じているのでは、というところでしょうか。面倒くさいがテキトーに服を選ぶとあらぬ第三者の評価につながるところ、ユニクロを着ることでそれを防御できるならばうれしい気もします。そのとき一番良いのは、テニスとかサッカー代表のスポーツウェアではなくて、JAXAの宇宙服をユニクロが作っているとかですかね。宇宙で着れるような機能性を持っている服を地球で着ているような社会的設定が出来れば、そのファッションがダサいダサくないの議論に参加しなくて済む気がします。欧米でのユニクロの店舗数が増えないのも、そうした「正義」の議論に弱いからなのかなとか思いました。

 

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