全球観察

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書評『解任』

以前読んだ粉飾決算に関する本オリンパスが取り上げられていたので読んでみたのですが、正直少し期待外れかもしれません。少なくともCEOの器にある人の書いた文章ではないと思います。

外国人の生え抜き社員はどういう感じなのか、外国人取締役がいることでガバナンスがどう変わるか、なども期待して読んだのですが良く分かりませんでした。

この著者は「日本社会」の問題点を指摘しますが、メインバンクが大株主で貸し手でシンジケートローンのアレンジャー(p152)とかFACTAの記事後に日本の報道機関が機能していなかったとかは確かにそうだと思いました。一方で、ほとんどの問題点は「当時のオリンパス社」の問題点に過ぎない気もします。それも、問題を作った人たちではなくて、問題を解決しようとしていた人たちに対して「問題を隠蔽している!」と言っても少しピントが外れているのでは、という感じです。

オリンパスの第三者委員会の報告書 をこの著者は礼賛しています(↑の本でも)が、「解任」時にはどの程度スキームを理解していたんですかね。まあ、確かに、就任早々こういう問題がFACTAに載っていて誰も教えてくれなければ疑心暗鬼にはなると思います。

何故彼がCEOになったのか、何故彼にスキームを事前に説明しなかったのか、そもそも何故「飛ばし」を隠蔽することにしたのか(ヤクルトの巨額損失事件はその損失を出した経営陣のときに発覚した?)、何故「飛ばし」を作った人たちの責任は追求されないのか、などなどは良く分からなかったです。あと2~3年していれば「飛ばし」は上手に処理出来ていたのかもしれません。

少し安っぽい正義感過ぎる文章でしたが、ひとまずオリンパスの第三者委員会の報告書はいつか読んでみたいです。

 

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