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書評『新疆ウイグル自治区 中国共産党支配の70年』

現代の中国農村に関する本を読み、もう少し多角的に中国を知りたく読んでみました。事前の知識は全く無かったですが、こちらも非常に興味深く読めました。

中華人民共和国が今新疆ウイグル自治区でしていることは、「ジェノサイド」というよりはもう少し違う概念なのでは、という指摘が興味深かったです。「中華民族化」のようなこと(「中华民族共同体意识」を持って「中国梦」を実現しよう)のようです(p228)。
経済発展してもテロは防げないというような認識(p179)になり予防重視になっているのも興味深いです。教育面では内申点のような制度もあったりするのでしょうか。そうした予防重視の政策は何となく人間の内面をコントロールしたい願望がある気がするので、直接的に暴力的な感じではないような気がしますが膨大な監視カメラ以外に何をしているのか興味あります。

そもそも何故中華人民共和国がここまで新疆ウイグル自治区にこだわるのかは良くわかりません。対ロシアの安全保障(p71)、エネルギー政策(p147)、一帯一路構想の核心エリア(p170)などもあるのでしょうが、内モンゴル自治区とモンゴルのような枠組みとかは難しいのでしょうか。何となく国家の分裂を防ぐというような面子?がいつの間にか形成されただけ、な気もします。もし国民党政権だったら今の新疆エリアはどうなっていたのでしょうか。

他にも、中華人民共和国成立後の「民族問題」とは何だったのか(p30),、何故鄧小平は漢民族による統治を強化したのか(p86)、言語政策は今どうなっているのか(p84,p103)、新疆の開発は融資平台にどれくらい依存しているのか、結局中華人民共和国新疆ウイグル自治区にどれぐらいの予算を使っているのか、は少し気になりました。特に、今後中国の不動産バブル崩壊などで新疆に中央政府の予算を費やすことが難しくなったらどうなるのかは部分的に清朝末期の状況に近くなる気もして(p13)、興味深い気がします。

いずれにせよ、この本を読んで結局一番良くわからなかったのは「ウイグル」って何?というところでしょうか。もともとはソビエト由来の民族概念(p19)のようですが、そういう良く分からない妖怪がさまよっているような印象もありました。

 

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