全球観察

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書評『東京は郊外から消えていく』

10年前の2012年の段階で、郊外の衰退・都心回帰について指摘していた本です。今読んでも殆ど違和感ないです(2017年の段階の本についてはこちら)。まあ、スカイツリー効果を少し楽観的に見ていたかな、という感じぐらいでしょうか。

 

2012年の段階では、1985年頃に東京郊外で生まれた育った団塊ジュニアが、2010年頃には都心に住んでいるというデータでこの動向を説明出来たようですが、共働きの普及や地方出身者の動向や郊外の高齢化に対する想像以上の無策などもありそのトレンドは強化されていると思います。

「城南ブランド」がゆるやかに衰退している傾向が見られたり、さいたま市の職住近接が評価されそうな気配があったのも興味深かったです。ブランドよりもユニクロ的なコスパ重視の価値観が昨今は支配的なのだと思います。一方で、LVMHの決算を見てもブランド志向が衰退しているわけでもなく、消費の多様化みたいなことでしょうか。

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都心回帰とは言え、戸建て志向なのか集合住宅志向なのかタワマン志向の分析も面白そうです。
場所は不明ですが、「道路族」みたいな単語が出てくるように郊外・戸建ての生活は子育てには難しい気もします。

アメリカの郊外でも同様のことが起きているようです。

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子育て世代が増えない街は結局衰退するしかないと思われ、この本でも住宅マネジメントの重要性が結論的にありましたが、結局この10年間で郊外住宅街の住宅マネジメントはどれほど進んだのでしょうか。。。住民間の合意形成が難しいんですかね。
ちなみに、上記のアメリカの動画は住宅マネジメントの参考例として参照されるHOAが道路で子供を遊ばせるな、と注意した事例のようです。

この本にも記載されているように、郊外は、同居・近居で大家族っぽい感じの生活が好きな人に向いていく気がします。自然が多いわけでもないので、どうせ郊外にすむならば田舎暮らしをしたいという人の動向も気になります。ドイツのような小さな活気がある街が増えたりしてくれるとうれしいです。

 

ニューヨークの電車通勤のように、その時間が楽しいと思えるようになるとまた条件は変わりそうです。最近は通勤ライナーも増えてきているので、そこでどのような文化が生まれるか(どのような禁止事項の張り紙が掲載されるか)、数年後が楽しみです。

 

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そんなニューヨークも2~3兆円規模の再開発プロジェクトがあったりします(都営三田線西台駅上の人工地盤の超デカイ版みたいなイメージのようです)。

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都心・郊外の人口増加パターンが70年ぶりに逆転した、との2014年の記事もありました

 

ロンドン都心部でも541棟以上のタワマン(20階以上)が計画されており、11万戸増えるようです。

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多くの国がベビーブーマーのために1960年~1980年代までに作った都市やインフラや住宅や社会制度が劣化している問題に直面しているのだと思います。

 

 

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