全球観察

全世界の様々なトレンドを記録していきます。

書評『アマゾンVSウォルマート ネットの巨人とリアルの王者が描く小売の未来』

アマゾンに関してはある程度知っていることが多かったですが、ウォルマートがここまでデジタルに投資しM&Aしまくっている会社だとは知らずビックリしました。テクノロジーへの投資が毎年5000億円程度のようです(p76)

 

ウォルマートECサイトを色々触ってみましたが結構面白かったです:

- ルイヴィトンの中古のバック (P112ではスレッドアップと連携したことを紹介していますが、他のマーケットプレイスとも連携している模様です)

https://www.walmart.com/search?q=louis+vuittan (louis vuittanで検索)

 

- 無印良品の商品  (直販ではなく、サードパーティーの出品のようです)

https://www.walmart.com/search?q=muji

 

- ナイキの直販 (ナイキはamazonから撤退。マーケットプレイスから買える)

https://www.walmart.com/ip/Nike-Women-s-Air-Zoom-Vomero-16-Running-Athletic-Sneakers/1600421573

 

この本ではPBの話があまり出てきませんでしたが、p60にあるようにサプライヤーと協業して営業計画を作りevery day low priceを実現しているらしいのも興味深いです。また、そのために膨大なデータをretail linkというサイトを通じてサプライヤーに提供しているとのことです。

 

一方のamazonですが、p49にあるように2021年12月の段階で物理店舗の数が100店舗になっていたことが一番ビックリしました。amazon 4 star,amazon go,amazon books,amazon popup,amazon fresh,amazon groceryなどの多種多様な形態でそれぞれ数店舗~30店舗ほどのようです(ただ、2022年12月に検索してみると結構閉店してます)。

なお、p179ではそうした物理店舗兼倉庫みたいなフォーマットのamazon freshではもはや買い物客よりパーソナルショッパーが多かった体験から店舗の出店戦略にも影響するのではと書いていますが、そこまでのインパクトはまだ感じていないところです。パーソナルショッパーは買い物代行というよりもオンデマンド型の短時間宅配として理解した方が良いようです(p119)。

 

いずれにせよ、セブングループのオムニチャネルではないですが、リアルとバーチャルの小売が融合しているトレンドを凄く感じました。
ちなみに、アマゾンは小売の領域を超えてtoC向けに色々しており、いわゆる「アマゾンエフェクト」として恐れられていますが、結構失敗も多いように感じています(例えば、アメリカの不動産仲介業者リアロジーとの連携)。とはいえ、アマゾンのような挑戦者が居ることで、その分野が活発になる気もするので期待したいです。

 

コストコのcccが-1.1なのもビックリしました(p54)。独特の商品が多い気がしているのですが、結構すぐに売れてしまうのですね。

「食品」が小売業の肝である観点から、ドン・キホーテがユニーを買収した理由もわかった気がしました。次はドラックストアでしょうか。