全球観察

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書評『運は創るもの』

97ページの札幌一号店を見て、良くこんなに大きくしたなと思わざるを得なかったです。221ページの工場運命進出も何というか意図したというよりは正しく運を創っている感じがしました。212,233ページにあるように北海道の中小企業がスイス銀行にCBを引き受けてもらっていたのも不思議です。

251ページにお値段以上ニトリのCMは2004年頃始めたとさらりと書いていますが、以後18年以上このタグラインである一貫性が凄いと思いました。
ただ、この本を読んで、どちらかというと、ニトリの最大のマーケ戦略は「価格」であると再認識しました。店員の接客やブランドイメージなどの販売力ではなく、比較的品質の良い商品を手軽に購入可能にするための、バックヤードのイノベーション(店舗立地、商品構成、仕入れ、在庫管理、倉庫管理、工場管理etc)に似鳥氏がフォーカスしたことが最大の成功要因だったのでしょう。
2022年現在でも顧客向けECサイトがかなり使いにくいと感じていますが、80年代に在庫管理システムを大型コンピュータからパソコンに切り替えるための社長直轄の一年ぐらいのプロジェクトがあったこと(175ページ)などその一例でしょう。

何故日本の家具会社No.1が北海道からだったのかは良く分かっていませんでしたが、旭川の家具文化が影響している気もしました。それにしても、日本で比較的住宅のサイズが大きい北海道向けの家具もアメリカでは全く通用しなかったのも興味深いです。
イケアと同じく、創業期にポーランドの家具工場と取引があったのも初めて知りました。
それにしても日本の郊外での出店が地主の都合に左右され過ぎな気もして、過疎地や限界郊外地が多い理由の一端はここにある気もします。