日本の地方自治体の成り立ちについて知れる素晴らしい本でした。
幕藩体制における領主の地方支配とは、領内の労働力の安定化のため、村ごとにつくられた戸別の帳簿であった「宗門人別帳」(江戸時代の戸籍簿) などによる人身支配と、年貢などの徴収のための土地の把握であった。
幕藩体制のもとでは、藩の大小による制度の違いはあったが、藩札を発行したり藩による武士(軍隊としての武士) を抱えたりして、藩領内の自治がおこなわれていた。また、村も藩内の「行政村」とされ年貢や賦役を負担していれば、村の名主や庄屋などの村方三役に領内の住民自治は任された。
江戸時代の頃は各藩が積極的に新田開発したりインフラ整備したりしていなかったのでしょうか。税の徴収に徹している感じがして、興味深かったです。
「分国法」のような各地域ごとの法律が運用されたのが室町後期~戦国時代のころのみのようで、それ以降の時代は基本的に中央集権体制のようなものだったようです。今の日本の地方自治体がどこも地方交付税依存体質になってしまっている背景のようなものを感じます。
明治36年には四五府県を二六府県にする「府県廃置法律案」が法案として議会に提出されましたが、採決には至りませんでした。
平成18年には「第二八次 地方制度調査会」が「道州制のありかたに関する答申」を内閣総理大臣に対して行いましたが、それ以降特に発展はないかと思います。
ただ、この本を読むと、日本の地方自治体の区分は結構テキトーに作られている気もして、人口減少社会のときにどこかのタイミングで新しい区分になってもおかしくない気がしました。ただ、それぞれの地域から声が上がることもこれまでの歴史でほとんど無かったようにも見受けられます。