全球観察

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書評『日本人と不動産』

日本の不動産に関するトピックがある程度まとめられており、そこそこ楽しめた本でした。

 

1881年の地租改正時に全国の地租4900万円のうち98%は「村」。200市街地は2%(p130)。

1920年の市部面積割合は0.4%、市部人口割合18%だった。1940年の市部面積割合は2.3%、市部人口割合37%だった。1975年頃に市部面積割合が27.1%、市部人口割合が75%になり、今に至るまで緩やかな上昇傾向。

・全国の人口で東京都人口が占める割合は1940年から10%程度。付近の県が地方からの人口流入を吸収している(p63)

・「土地基本法」(1989年)、「国土利用計画法」(1974年)、「都市計画法」(1968年)、「建築基準法」(1950年)に制定されたが、普通は逆の順番では?(p163)

などは印象的でした。

 

SNAの議論が多いこと(日本人の家計資産は2400兆円、非金融資産は1000兆円、土地資産は765兆円、建物資産は221兆円。帰属家賃は47兆円。土地資産は1200兆円、個人所有地が748兆円、法人所有地は406兆円、国公有地は135兆円)も良かったです。とはいえ、何故バブル崩壊経験9ヶ国のうち、日本だけ住宅不動産価格が低迷しているのか、は良く分かりませんでした。

 

用地買収についても水道に関する村山貯水池などは反対運動にも関わらず強制収用されましたが、用地買収が上手くいく場合と行かない場合の違いは何なのでしょうか。

 

チープな賃貸住宅形成でURの果たした役割(シンガポールのHDBとの違い)、他国にもサブリース物件産業はあるのか、何故日本の家は寒いのか、不動産流通の課題、山林取引の不動産市場への影響、都市計画で地方議会はどのような役割を果たしているのか、など本書を読みながら疑問に感じたので関連書籍を読んでみようと思います。

 

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村山貯水池(多摩湖)の用地買収 | 東大和の歴史