全球観察

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書評『旅する街づくり』

1964年前後のアメリカ・ハーバード大に留学した都市計画家の留学と欧米旅行の回顧録です。

留学記では、都市計画で人種差別をどうなくすのかが課題だった趣旨の記載が多かった印象ですが、ラドバーンのような歩車分離の都市計画の話があまり出てこなかったのが不思議でした。旅行記と合わせて、戦後日本の場合は、首都圏の一極集中(「あゝ上野駅」)や郊外の駅前開発などが結構ユニークだったんだなと改めて感じました。

シカゴの貨物線が通勤線(スコーキー快速)になったのは西武多摩川線っぽい(p312)、シカゴの郵便局を抜ける高速道路は大阪の朝日新聞社を抜ける阪神高速道路みたい、著者が携わった高蔵寺ニュータウンではカンバーノルドの中心商業地区を参考にした、ドイツのブッペルタール多摩ニュータウンに少し似ている(p408)、オランダ・ラインバーンの再開発は「スーパーブロック」の概念とともに日本の都市再開発に影響を与えた、等々色々興味深かったです。

旅行記では、日本の都市計画が貧弱である旨が度々記載されていましたが、それの背景にあるような農地解放や相続や地方自治の話があまり無かったのが残念でした。イギリスの田園風景は貴族の土地保有と関連している旨の記載はありました(p372)が、何故それで成立するのか、東京の戦後グリーンベルト構想が何故頓挫したのか、などもう少し深い考察が読みたかったです。

イギリスのウェルウィンステイブネッジ、スウェーデンベリングビューとかは訪れたようですが、イギリスのミルトンキーンズにこの当時は行かなかった理由も知りたかったです。ロンドンのbarbican centerのような再開発(p364)を日本では出来なかったのも少し気になりました。

多分、一番良い時代のアメリカに留学している感じがして、この本を一番読みたいのは現代のアメリカ人かもしれない、となぜか思いました。

 

 

 

Gateway District (Minneapolis) - Wikipedia

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Westfield Old Orchard - Wikipedia

Charles Center - Wikipedia

Barbican Estate - Wikipedia

 

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