全球観察

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書評『バフェット』

不思議の国のM&A」が参考になったので同じ著者のバフェット本を読みました。内容的に結構網羅的で、書いてある内容も信頼出来る気がしました。ただ、この本は1999年に出版されていますが、著者の頑張って砕いて説明している文章を読んでいると、日本社会の当時のバフェットに対する認識ってこんな感じだったんだ、と少しビックリします。

最後の方のp279にさらっと保険料収入で投資していると書いてありましたが、バフェットがどうやって資金調達をしているか、はあまり記載されていないのも印象的でした。

ちょうど間接金融主体から直接金融にシフトしていた時期なのだと思いますが、良くこのレベルの認識で日本の当時のビジネスマンは世界No.2の経済大国を自負していたな、と思いました(逆に言うと、ちゃんとした知識があればもっと凄かったのでは、と思ったり)。

ちなみに、ABCというテレビ局をキャピタル・シティーズが1985年に買収したときにバフェットも資金援助したようですが、2005年にライブドア(と村上ファンド)がニッポン放送を買収しようとしたときに、バフェット的な世界観をもっと打ち出しておけばどうだったんですかね(この本の6年後とはいえ、バフェットはその当時の日本社会ではwho?みたいな感じだった?)。

もともとファンドで投資していたバフェットがファンドを解散して株式会社で投資するようになった、ら辺は結構気になりました(今の日本でもジャフコの上場に結構批判があったりすると思うので)。

この本が出る1年前の講演で、バークシャーは1%の金利で10年間お金を借りられるが現段階で日本には良いビジネスが無いが引き続き探していきたい、みたいなことをバフェットは言っています。その約20年後に商社株を買っていますが、ずっと探してくれてたんですかね。

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バフェット本としても1990年代の日本経済の雰囲気を伝える資料としても良い本でした。

 

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