中国のPMI速報値が49.6と市場予想より低い水準という2014年1月22日の発表後
、幾つかの新興国で輸出への不安からか急激に通貨安が進み、同時に世界的な株安状況を続いている。
Emerging markets: It's like 1997 all over again| The Economist
2014年1月27日に発表されたこの記事では、現在の状況がアジア危機の起きた1997年に類似しているのかを巡って考察されている。結論としては、現状は危機的ではないが、
- 政治的構造改革が停滞し政情不安が起きること
- 家計債務の増加による信用収縮
をリスクとしている。
1に関しては、タイ、トルコ、ベネズエラ、南アフリカ、中国、サウジアラビア(王位継承過程の不安定について:Saudi Arabia: No satisfaction | The Economist)、ウクライナ(
内戦危機について: ウクライナ、危機再燃 反政権10万人デモ、衝突 政府の強硬策裏目 :日本経済新聞)などの些細な政治問題が国際的問題化してしまう可能性があるように思う。
2に関してはForbes上で興味深い議論があった。
Why Singapore's Economy Is Heading For An Iceland-Style Meltdown - Forbes
少なめの経常赤字・外貨準備の多さ・変動為替制度などは確かに1997年の脆弱な新興国の姿とは違う。だが、以下の図にあるような家計債務の多さは、新たな弱さを示しているのではないか(http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1705B_X10C13A7FF2000/)。金利上昇過程や中国の経済失速時に、これらの経済は必要以上の大きなダメージを受けるかもしれない。
いずれにせよ、時代の舵は、一部の投資家やエリートではなくて、非合理的で階級コンプレックスがありあどけない明るさを残しつつ貧しさから死ぬほど抜け出したいがたまに自虐的であり集団パニックを起こすかもしれない新興国の大衆の理性と欲望が握っているのだろう。