全球観察

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書評『eボーイズ』

シリコンバレーベンチャーキャピタルの一つであるbenchmarkの1990年代初頭の活動に関する本でした。ebay、webvan、tristrata、priceline、のような企業が出てきます。また、影の主役はamazonでしょうか。amazonが「書籍から始めたこと」の重要性をところどころで感じられました。

 

メモ:

・benchmarkはwebvanのskuを300万アイテムを減らそうとして、実際に100万アイテムに減らした(p63 それではamazonには勝てないのでは?)

・1995年にbenchmarkが発足したとき、スタンフォード大学基金が主な投資家。30%のキャリーを条件付きにした。他の投資家と合わせて8500万ドル集めた(p139)。

・benchmarkの投資判断は5人のパートナーが1~10までの数字を書いた紙を投票するというもの。5人のうち3人が5より大きい数字ならば投資が確定(p178)。アソシエイトを一人雇うのも慎重だった(p347)。最終的にはuberなどの投資判断をすることになるビルガーリーがパートナーになった。

・pricelineへの投資を諦め、tristrataに投資することにした(p187)。pricelineはその後のipo時価総額98億ドルに達した。tristrataは成功しなかった。

・benchmarkの社内起業家が作ったエスクローサービスのaccept.comを投資先のebayに導入しようとしたが難航した。その間に、amazonがオークションサービスに参入しaccept.comを買収した。

・ebayのシステムは頻繁に落ちた。ただ、amazonとオークション分野では張り合えていることで自分たちのコミュニティーの強さを実感した。

トイザらスとbenchmarkはeストア専用の子会社を作ろうとした。おもちゃは供給が限られているが、トイザらスの店舗網と商品をどう割り当てるか、eストアに割り当てるときの内部価格をどうするか、で揉めた(p371)。また、子会社のストックオプション制度が親会社のトイザらスの給与体系と全く異なる点や店舗が閉鎖に追い込まれる可能性などもあり、結局子会社設立はご破産になったゴールドマン・サックスとも子会社設立の案があったが、進展しなかった。百貨店大手のnordstromと子会社を作ることになった。