全球観察

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書評『ゴールドマン・サックスM&A戦記』

ほとんどが知らない案件でしたが、楽しく読めました(三菱商事のローソンへの出資ぐらいはあってほしかったですが)。
GEキャピタル長銀資産の買取が事業譲渡ではなく株式売買のカタチになったときにどのようにリスクがヘッジされたのか(瑕疵担保条項とかあったのか)、みたいな「そこが聞きたい」ところは守秘義務もあり記載されていないのが少し残念でした。

 

住友銀行のユーロ市場での劣後債発行時に、オランダの法人の発行をニューヨーク支店が保証のような「複雑なスキームを工夫する必要があったのは、先に述べたように、当時の商法が劣後債の発行を想定しておらず、学説もそういうことを想定していなかったこと、あるいは大蔵省が一部の銀行にしか社債金融債)発行を許可していなかった等の理由があった」とあるように当時の金融行政の水準も垣間見られます。

他にも、合併や事業譲渡やスピンアウト時に国税当局の雑な制度設計を回避し無駄に見える税金をいかに払わないようにするか、みたいなのが主な付加価値に見える案件が3~4個ありました。

投資銀行の人事評価、日本の経営文化への意外な評価も興味深かったです。