全球観察

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書評『都市と消費とディズニーの夢 ショッピングモーライゼーションの時代』

公共空間のモール化というような本を前回読みましたが、そのような議論をより具体的に事実ベースで論じているような本でした。いろいろな事例があり参考になるのですが、考察というよりは事例紹介という感じはあるかもしれません。

 

ちなみに、1977年竣工のパリの「ポンピドゥー・センター」や1982年竣工のロンドンの「バービカンセンター」がモールっぽくないのは興味深い気はします。

あと、ニューヨークのセントラルパークは年間4000万人来るんですね。東京の新宿中央公園PFI事業としてちょっとした消費拠点化している気もしないでもないです。

東京の複合施設化の再開発には防災や道路整備予算が絡む気がしますが(e.g 東京都練馬区 )、他国ではどうなのでしょう。複合施設がモール化するかしないかは自治体予算やその運営が結構絡んでいたりするのでしょうか。

 

メモ:

・2010年に新規開業した羽田空港国際線ターミナル・2012年に新装される東京駅・2012年に開業した東京スカイツリー、こうした公共性の高い空間の目玉がモールであった

・2002年のニューヨークの9.11事件後のワールドトレードセンター跡地のコンペで安藤忠雄慰霊碑やメモリアルパーク案などは退けられ採用されたリベスキンドの案でさえ収益性の観点から訴訟沙汰になってしまった

・公共性の高いスペースの収益化を行う場合に、選択肢として選ばれるのが、ショッピングモールとして施設をつくり直すという手法の流行

・モール化の背景には、流通や観光、交通といった産業における国際都市間競争がある

・昨今の高級住宅地はモールと直結することがブランドになることが多い

・一方で、消費に頼らずに、歴史や人間の関係性に都市の可能性を見出すトレンドもある

 

・1956年の連邦補助ハイウェイ法以降に、ショッピングモールは増加。米国では、1980年の段階で2万店程度。モールは郊外ニュータウンのコミュニティのような機能。その同質性はニュータウンの共同性の担保になる反面、排除の論理もあった。

・1976年のシカゴの「ウォータータワー・プレイス」は都心部でモールを絡めた複合プロジェクト型再開発の先駆け。1977年にはカナダの「トロントイートンセンター」。なお、1978年には東京池袋でサンシャインシテイ が竣工。

・1983年のニューヨークの漁港の再開発である「サウス・ストリート・シーポート」は世界のウオーターフロント再開発の流れを作った。

・ラスベガスでも1989年のミラージュホテルを契機にテーマ化が流行。

・1969年のパリの「parly 2」を見て、ボードリヤールは新しい消費社会の分析。

・1969年の玉川高島屋は、アメリカのショッピングモールよりも、スウェーデンの「farstacentrum」「Vällingby Centrum」など鉄道の利用客とマイカーの利用客の双方の利用を考慮して計画されたショッピングモールから影響を受けた。(YouTube動画を見ると、どちらかというと南町田のグランベリーパークの方が似ている気もする)

 

・ショッピングモールは、公共空間になり、都市になろうとしているが、ウォルト・ディズニーの実験未来都市構想(EPCOT,Experimental Prototype Community of Tomorrow)の影響がある

 

 

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