全球観察

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書評『都市と土地の理論』

1992年の段階で日本の都市計画・土地税制などを批判的に分析した本です。

個人的には、ちょっと読みにくいかなという気がしました。多分その読み辛さは、日本の土地の問題を一面的に見て、外国の制度の方が良い、みたいな論調だからだと思います。あと、都心部を全て高層ビルで埋め尽くす「高度な利用」はなんかつまらない街が生まれるだけな気がします。

 

非線引き区域に関する議論は参考になりました。

東急田園都市線沿いの開発の動画を見ていても、都市のあり方に興味の無い地主の発言力が強すぎる気がするんですよね。とはいえ、こういうところが未だに開発されてしまうのも、自治体財政上の麻薬みたいなものでしょうか。若い世代に来てもらっても、結局賞味期限20年ぐらいの街が作られるだけだと思います。

市街地農地もグリーンスペースとして評価しても良いと思うのですが。。。確かに私有地としての中途半端さはありますが。

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モクチンのような低家賃住宅は確かに防災面では課題でしょうが、都市のスラム化は避けられているようにも思います。また、「トキワ荘」などの職住近接的可能性や文化的可能性があるところを経済合理性だけで判断するのは一面的かなという気もします。

当時から地区計画が中途半端であることが議論されていたのは興味深いです。ベットタウンで都市計画への市民参加は難しいですよね。。。

 

相続税に関しては、いろいろ難しい議論をされていますが、0にしても良いと思いました。長生き時代にもはや富の集中防止策としてはあまり意味も無い気がします。相続によって街の継続性が無駄に崩れる負の外部性の方が気になります。土地の公共性を議論するならば、光熱費など地域インフラへの負荷の議論もあってよかったと思います。

 

都心部の土地の高度利用をしても、結局都市への集中という流れを増長するだけだと思うので、非都心部にどのように事業所・大学・その他施設を誘致して行くかみたいな議論もあって良いかと思いました。

 

外国の制度で最も面白そうだったのは小規模開発への規制周りでしょうか。