アメリカ議会のリーマンショック後の報告書の一つです。以前読んだwall street and the financial crisis報告書はググってもあんまり情報なかったのですが、こちらはFCICとかFinancial Crisis Inquiry Commisionとかでググると結構日本語の情報がありました。この報告書も日本語訳が無いのがキツかったです。deeplの翻訳精度はイマイチでした。
内容的には、以前読んだall the devils are hereとあまり変わらないかなという印象です(情報の細かさはこちらの報告書の方が圧倒的ですが)。ただ、この本を読んだときに「同時期のグローバルな住宅バブルの影響(サブプライムとか住宅ローン証券化とかがない国を含む)」「ファニーメイとかがサブプライムローンを購入したことが証券化市場形成に果たした役割」とか疑問に思っていたのですが、こちらの報告書ではDISSENTING VIEWSとしてそうした疑問の回答に近い内容がありました。
ちなみに、バフェット氏もこの報告書をまとめた委員会で強制的に出席を求められたようです(当時の映像、youtube版、議事録、資料、記事)。また、出席に先立って委員会のスタッフによるインタビューもありました(音声、議事録、記事)。他にも膨大な数のインタビュー、提出された資料がデータベースにアーカイブされています。
この報告書が超党派の統一的な見解として公表されなかったことを批判するような当時の報道 や手続きの問題を指摘する報道はありましたが、寧ろ様々な事実や意見を集約して体系的に問題を理解しようとするアメリカの方法論の凄さを感じざるをえないです。
なお、all the devils are hereを書いたNocera氏はDISSENTING VIEWSのファニーメイ/フレディマックに関する箇所を批判しています。
https://www.jsri.or.jp/publish/research/pdf/87/87_01.pdf
https://www.jsri.or.jp/publish/research/pdf/84/84_01.pdf
アイビーリーグから消える中間層のツイートを見ましたが、アメリカは「貧困層」「マイノリティー」に対する政治社会的な政策で逆に失敗するような印象を持ちました。
アイビー・リーグから消える中間層の話。貧困層の子供に奨学金は大学のPRになるし、年収8000万円程度の超富豪の子弟は莫大な寄付金をもたらすけど、中間層の子弟は何にもならないのでいらない子ですねという。とは言え貧困層で成績の良い子は稀なので大富豪に偏るという(1/4)https://t.co/at8LA6W55n
— 畠山勝太/サルタック (@ShotaHatakeyama) 2023年7月24日
グローバルな住宅バブル
サブプライムローン組成数
住宅ローン別遅延率
Claytonが組成を拒否したローンも、いつのまにか証券化されていた
AIGのカウンターパートへの支払いはCDSよりも証券取引の方が多かった
アメリカの家計の純資産推移
Financial Crisis Inquiry Commission - Wikipedia
Goldman Sachs accused of misleading US Congress in damning report | Goldman Sachs | The Guardian