全球観察

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書評『ビジネスは人なり 投資は価値なり』

バフェット氏の1994年頃までの活動を大まかに知れる本でした。ただ、細部までは書き込まれていない、プライベートに関してはバフェット氏がそう見せたい演出的可能性、とかもあるかなと思いました。

幼少期のオハマに帰ろうとする描写が印象的でした。全体的にバフェット氏は無駄な競争を避ける志向があるように感じました。それを現実的に可能にしたのは1.6倍程度のレバレッジを低コストで掛けられる保険ビジネスであり、そのアプローチが特に成功するのは無駄な競争により事業淘汰されいつの間にか独占的なポジションになれていたときでしょうか。
子供の頃にピンボール機械を床屋に売っていたときの永久キャッシュフロー機関のような原体験も大事なのだと思います。

 

なんだかんだ1988年頃にコカ・コーラ株を買おうがペプシ株を買おうがトータルリターンはあまり変わらなかったようですが、コカ・コーラ株を買った理由/ペプシ株を買わなかった理由はもう少し知りたかったですかね。

ディズニー株を売却した理由(1966年,1998年頃)は全く記載無かったです。

新聞業界は2012年頃に買い増しつつ結局バフェット氏は2020年頃に全部売ってしまったみたいですね。本書の記載を見る限り、収益ギリギリの価格競争を仕掛けて競合を倒し地域独占を狙ったのかもしれませんが、業界ごとダメになってしまったのかもしれません。バフェット氏がもっと積極的な投資をしていたらどうなっていたでしょうか。

おそらく、バフェット氏の最高の投資判断の1つは1972年に2500万ドルでシーズキャンディーを購入したこと(と1976年にGEICOの2350万ドルの第三者増資割当に応じたこと)なのでしょうが、これまでの1円の価値があると思われるものを0.8円で買うグラハム的なアプローチ?から1円の価値があると思われるものを2円で買うみたいなアプローチに至る経緯ももう少し細かく知りたかったです。本書ではサラッとフィリップ・フィッシャーの影響があった、チャーリー・マンガーの影響があったみたいな記載ですが。とはいえ、1964年のアメリカン・エキスプレスへの投資にその萌芽はあったように感じました。

 

・1970年の銀行法改正なかったら、バフェット氏は銀行を傘下に持ち続けたのか、銀行を捨てざるを得なくなったから保険ビジネスにフォーカスしようとなったのか?

・1976年の優先株出資が、バフェット氏の初めての優先株使用事例? 出資時に優先株を使うときと使わないときの切り分けは? その後のジャンク債の流行はどのように影響した?

・バフェット氏は当初は株式インデックスファンドに反対していたような記載があったが(p266)、考えが変わったのは何故?

・1999年のマクドナルド売却だけでなく、ドミノピザなりスターバックスなり急成長したC向け食品ビジネスに投資しなかったのは何故か?

・何故コカ・コーラ株を買い増ししないのか?

・BtoBの産業でバフェット氏はどういうアプローチなのか?

・将来キャッシュフローをどのように予測しているのか?

・インフレについてのバフェット氏の考えの変遷。1974~1975年のS&P下落傾向がバフェット氏の考えに与えた影響。

あたりはもっと知りたくなりました。

 

 

www.latimes.com

Market Place; First Executive Sinks With 'Junk' - The New York Times

What If You Bought Coke Instead of Pepsi in 1988?

1938 Coca Cola article - Newspapers.com

Warren Buffett, World Book Encyclopedia and Scott & Fetzer