全球観察

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書籍「会社という迷宮」

経営コンサルの方が書いた「会社に関する議論」のエッセイ本でした。何故日本の経営者はすぐに安売り競争に参加するのか、社外取締役は形式的な存在以上の価値があるのか、経営者にも「疎外」概念があるのか、みたいなことを考えたりしたことがあったので、内容的に結構面白かったです。

全体として既存の会社ごっこみたいのに批判的で、そうした会社ごっこの言説を作ったのは経営コンサルであり(以前読んだGEの衰退本で「選択と集中」の当事者たちがトヨタの手法を礼賛していたのが興味深かったのを思い出しました)、資本主義が発展する過程でそうした言説にも価値があったのかもしれないが、会社ごっこの言説にハックされることに注意しながら、経営者は「会社」を取り戻そう、みたいな感じでしょうか。

特に、会社は軍隊というより国家というイメージが興味深かったです。確かに、どちらかというと、軍隊というイメージが強いことがいろいろな誤解を産んできたのかもしれません。無駄に戦略を礼賛することがそもそも何のためにビジネスをしているのかを忘れがちになり、過度な上下関係がイノベーションを潰し、理不尽が存在する前提の制度運用etc

ひとまずLIXILのお家騒動で日本のガバナンスはここまで凄くなったみたいな本を読んだときの違和感は間違っていなかったのか、と思う反面、この本はこの本で新しい経営コンサルの営業スタイルなのかも、という警戒感もなきにしもあらずです。

 

 

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