全球観察

全世界の様々なトレンドを記録していきます。

コンテンツ配信に関する雑感

dtvの独自コンテンツの「裏切りの街」を見た。

ストーリーはありきたりな、日常性に埋没した男女が不倫に走るみたいな感じ。逆にありきたりだからこそ、役者の演技やその他スタッフの技術力が必要なのだろうけれども、その点では結構クオリティーは高いと思った。個人的には内容的に特段面白いと思ったわけでもないけれど、何となく各自が自由に表現しているような印象を受けた。

最近深夜とかに無目的に車を運転しながらラジオを聞いたりするのが好きなのだけれど、芸人さんとかってこんなに面白いんだって思うことが多々ある。やっぱりラジオはマイノリティーな媒体だからこそ自由な空間があるのかなと思う。ただ、スポンサーの雰囲気を見ていると、少し経営の脆弱性を感じることがある。dtvとかだとそういう収支面でも安定していて、より自由な表現が出来る環境があるかもしれない。

勿論、多少お金があるだけ地上波テレビも面白いコンテンツは少なく無いと思うけれども、そうした自由さが可能な空間がもっと洗練されてくると見る機会はますます少なくなる気がする。netflixも独自コンテンツを配信しているようだけれども、そうした市場が大きくなることは面白いコンテンツに飢えている身としては有り難い。何だかんだいってwowowスカパー!の独自コンテンツに今まで興味が合ったわけではないけれども(たまにyoutubeでbazookaを見るぐらい)、今は規制に縛られない自由な面白さを少し感じ始めているので数カ月後にはこれらも契約しているかもしれない(もしくは誰かの家のホームネットワークをsoftetherとか使って自分のネットワークと同じセグメントにするかもしれない)

 

個人的にはAWS辺りが、デジタル放送に対応したnasを用意してくれても面白いと思う。nasneのクラウド版みたいな感じ。それをfireTVとかでtorneのような使い勝手の良いアプリを使い配信可能みたいな。

もしAWSとかでテレビが録画出来るようになるならば、 余った時間で効率的にTVを見るという視聴スタイルが普及し、オンデマンド配信市場にとっては追い風になる気がする。

現段階でも、海外から日本のtvを見るブログとかslingboxのレビューとかみるとそういう需要ってあるのかなと思う。

また、これだけコンテンツがありHDDの容量があると予約前の検索や予約後の検索が一番難しく、cpuの性能やソフトウェアのUIとかで既存の録画システムに不満が多い。メタデータを使った検索や、録画したコンテンツを文字化して検索とか出来たらうれしい。さらに今までの履歴から自動予約する「おまかせ予約」的な機能の推薦アルゴリズムも自分でカスタマイズ出来たら面白そう。個人的には敢えてcmだけを切り取りたいと思うことがあるので、その辺も今のブルーレイとかみたいに音声認識+画像認識でcm可否の判断とかのプログラムを自前で導入できたりとか。その他いろいろAPIのアイデアは出てきそうなので、custom gateway/lambdaと連携して....

更に言うと、コンテンツももっと増やして良い気がする。今のスカパー!とかでも160チャンネルぐらいしか見れないけれど、その10倍ぐらいのチャンネルから上記のように自由に録画・視聴できたらどんな世界があるのだろう。スカパー!とかその他外国のケーブルテレビもAWSにケーブルを接続してくれないかな。自前でインフラ用意するよりも安上がりになるのでは?

まあ、サーバーを用意しインターネットでデータを送信するサービスを提供するのは既存の地上波放送に限ると現段階の国内法的に難しいのかな。 

gendai.ismedia.jp

立法府や行政府も著作権改正とかそこまで行動しないだろう。安倍政権が携帯電話料金体系に介入したのは実は(新しい放送のあり方を見据えて)今の無線帯域の配分のあり方の議論をするためなのかなと勝手に思っていたが、想像以上に本当に小さい家計の心配だった。

日本政府がある程度意図しながら作った状況なのかな

イスラム国と言われる武装集団 or 国家?が日本人人質2人を取っている。約2億ドル or ヨルダンの政治犯の釈放を主張している。
情報が錯綜しているが、ふと日本政府の政治技術が長けている気がしたのでメモ。

今回の事案に於ける
イスラム国側の選択肢:
①約2億ドル受け取る
②ヨルダンの政治犯が釈放
③人質を殺す
メリット:
1;資金源が増える→①、②(その政治力に対する寄付金など)
2;存在感をアピール→今回の事案全体
3;"テロ戦争"の文脈の変化→②
デメリット:
1;暴力性の顕示による穏健派・諸外国からの非難→③
2;国民国家からの報復→③

日本政府側(イスラム国側の条件を受け入れない前提):
 ①人質が全員殺される
 ②人質が何人か帰還
 ③人質が全員帰還
 メリット:
1;集団安全保障権の拡大→①、②
2;政治力のアピール→③
3;テロに屈しない姿勢のアピール→①、②、③
 デメリット:
1;自国民の人命が奪われる→①、② →影響は予見が難しい

このように整理してみると、日本政府側の方はメリットが少なくなく、イスラム国側もメリットは多数あるもののデメリットも多くリスクが多いように思える。
特に、"カリフ制"の新しい国家を作ろうという時期に、必要以上の暴力性の顕示がどこまで必要なのかがわからない。例えば、1972年に日中国交正常化がなされたが、もし中国共産党が日本軍と敵対していた時期にこのような行為や脅迫(非軍人に対する)を働いていたら、ここまでスムーズには行かなかったのではないか(もしかしたら自分がそうした歴史事実をしらないだけかもしれないが)。また、今回問題に上げられている日本のイスラーム諸国への援助であるが、管見の範囲ではイスラム国以外は非難していない(aljazerraや東京外国語大学の日本語で読む中東メディアなど)。寧ろ、日本の援助は中立的で実際的であるとの評価もあるように思われる
https://www.facebook.com/islam.japan/posts/802492113156463
そういう意味でイスラーム社会に於ける生活を向上させると思われるこうした支援を"イスラム国対策"の文言があるからと言い、全否定するのは逆にイスラム国のイスラーム社会からの乖離を示してしまわないのだろうか。もし実際に日本政府が今回の援助や将来の援助を取り消した場合、イスラム国への非難がイスラーム社会から生まれないのだろうか。
そのような意味で今回の事案は、イスラム国に取り長期的な政治的正統性をリスクに掛けているように思える。

それに対して日本政府側は、デメリットとしては人質の人命が奪われるという不幸な事態となってしまうが、"テロに屈しない"という論調や"自己責任論"更には実際に米英は人質を殺されているという点からも政権運営への悪影響は少ないと思われる。だが、もし人質が返ってくるならばその国際的政治力のアピールにもなるし、また人質が亡くなった場合は集団安全保障権の拡大や憲法9条の改正などの社会的条件を整えることが出来るであろう。そういう意味で、http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-258.html にあるように支援内容の実質としては以前と変化がないものの敢えて"イスラム国対策"という文言
を入れて意図的に or 間接的にこのような状況を作りだした or 導き出した可能性を感じ、政府の政治的技術は案外長けているように思った(人質が取られていてから数ヶ月経っていているが、その間の交渉過程は不明だが、逆利用している側面もあると思う)。少なくとも、人質たち本人が"助けてくれ"とは言っていないのに、このタイミングでここまで"人命優先"で助けようとしている点に若干の政治的な虚構はある気がする。

 

いずれにせよ、イスラム国の脅威は今のところ私にとり、支配地域に行った際に人質になる可能性があるという程度のものでしかない。ただもしかしたら長期的なエネルギー資源の確保や日本国内の治安に関係してくるのかもしれない。プロパガンダでは確かに強そうに見えるが実際にイスラム国の実力がどれほどのものなのか、を冷静に測りながら今後の日本国家の政治政策を考えるべきだと思う。
個人的には、後藤さんには興味があるので、是非無事帰国していただき今回の件を幅広く共有していただきたい。

 

 

イスラーム国の衝撃 (文春新書)

イスラーム国の衝撃 (文春新書)

 

 かなり包括的にまとまっていると思う。イスラム国はイスラーム思想的には必ずしも目新しさはないようだが、イスラーム国がアルカイダなどと違い「終末論」を前面に出している点に興味を持った。"カリフ制""領域支配""第一次世界大戦後の秩序否定"という点がイスラム国の政治的新しさということなのだろう。イスラーム国が領域支配を進めるに辺り、どのように地元住民への行政的利益をもたらしているのかを知りたいと思った。

また、アメリカが抑止力としての役割を徐々に弱めるならば、イスラエルサウジアラビア等の諸国の行動モチベーションが変化するという指摘も重要だと思った。

 

イスラム国 テロリストが国家をつくる時

イスラム国 テロリストが国家をつくる時

 

  1000円ぐらいなので買っても損はないと思う。様々な記事、特にミリタリー・テロ対策系のサイトからの、がまとまっている。著者自身のインタビューも若干あるが、根拠が明確でもないので参考程度になるだろう。オリジナリティのある本というよりは、イスラム国に関する普段見ないようなサイトの英語圏の記事が上手にまとめられているという印象。

The Economistの年末号を読みながら適当に2014を振り返る

The Economistの年末号を読みながら適当に2014を振り返る

まずはThe world this yearから


1、ウクライナで政変が発生→ロシアが東部ウクライナに"侵略"し、クリミア半島がロシアに。 →EUと米国を始めとする諸国は経済制裁
2、石油価格が大幅に安くなる ←世界的供給の多さ + OPECシェールガス対策 →ロシアルーブルが米ドルに対して大幅下落 + main interest rate が10.5%から17%に ※その他の金・穀物などの主要商品価格も軒並み昨年比で下落 (The economistのcommodity-price index)
3、イスラム国が独立を宣言 ※関連記事 http://www.economist.com/news/middle-east-and-africa/21606879-abu-bakr-al-baghdadi-declares-himself-leader-all-muslimswho-dont-buy
4、スコットランドの独立投票が否決
5、香港で中国返還以後で最も大きい反政府デモ運動が発生 
6、エボラ出血熱が西アフリカを中心に世界的流行
7、アルゼンチンがデフォル →しかし株式市場は昨年比で+42.3%(ペソ建て)の上昇。
8、法人税を回避するような国際M&Aが注目 →各国家の税取り立て vs 企業・個人の回避は今後も大きなテーマになりそう
9、ヨーロッパで反移民的な右翼政党が議会入りするなど微妙な躍進が。ただ、米国では不法移民に一定期間駐在を認めるような動きあり。
10、インド・南アフリカ・コロンビア・インドネシア・日本・アルゼンチン・エジプトで国政選挙。アメリカで中間選挙。 タイでは軍によるクーデター。
11、 ヨーロッパで”忘れられる権利"が注目され、googleでは要望に基づき70000件のリンクが削除。
12、アリババが史上最高額のIPOを達成しました。
13、ユーロ経済は低迷、アメリカ経済はそこそこ快調→FRBQEを止めそう。

 

いくつか面白かった記事


14、ケニアとスーダンに対するICCの人権に関する勧告がほぼ無視 →国際的な"正義"の行方はどうなるのか →他国の人権侵害とかで自国軍を派遣したり、多国籍軍を派遣したりは難しくなってきたのかな
15、インターナショナルスクールの興隆 →ローカルの権力が押し付けたい価値観対ローカルの支配層の価値観の矛盾が見られて面白そう。だけど、絶対数だとまだまだ少ない印象。
16、弁護士のボーナスがあがったよ、だけど.... →相対的な弁護士の価値の低下が見られる、のでは?
17、 実はマードックはこの数年間で僕達の何倍も何倍も稼いでいるよ → 危機に際して、今までしようとして出来なかった数々の施策を実施。オリンパスも数倍になっているよ。

 

その他

18、中国の不動産価格は下がっているけれども、株式市場は+42.9%の上昇。
19、韓国の株式市場はマイナス、シンガポールと台湾は微上昇。
20、トルコ、インドネシア、インド、パキスタン、タイ、アルゼンチン、エジプト、ベネズエラ?の株式市場がローカル通貨でも$でも良い感じ
21、サウジとマレーシアとギリシャハンガリーオーストリアが結構大幅な下落。マレーシアと東欧で何かが起こっているのか?
22、メキシコとノルウェーと韓国とフランスと英国とオーストラリアがちょっと微妙な下落。ちょっと意外な国も多い。
23、イタリアがいつの間にか経常収支黒字国に。だけど、13.2%の失業率と-3.0のindustrial output
24、ロシアは大幅なルーブル下落 + 15.79%の10年国債金利 + 昨年比+7.6%の消費者物価指数が気になるけれど、GDPも微増で失業率も5%程度でプライマリーバランスもプラスみたいでまだ経常黒字でもあるので案外基礎体力はありそう?
25、日本のGDPは+0.5%で鉱工業生産指数も経常黒字も下落気味だけれど、消費者物価指数は昨年比で+2.4%で失業率も3.5%で10年国債金利は0.37%。

 

 

2015

中国共産党の倫理政治がどうなるのか気になる。日本銀行量的緩和の副作用とかもそろそろ出始める時期かな。ロシアは大丈夫そうだけれど、西欧諸国との落とし所が気になる。中央アジアはどうなっているんだろう。イスラム国やその他独立選挙から法人税タックスヘイブン云々など各国家の徴税権をめぐる戦いが増えそう。各国家をベースとした国際機関のインポテンスも感じてしまうかもしれない。