Googleの提供する"Chrome OS"を使ったChromebookがデスクトップ環境を変えそうだ。特に、新興国や法人向けデスクトップ環境が大きく変わる可能性がある。そのようなことを今月13日に次の記事を見て思った。
Chrome OSでWindowsアプリ実行が可能に〜米Googleと米VMwareが提携
この記事で言われている"VMwareのBlast HTML5テクノロジー"というものがイマイチ良く分からなかったのだが、要は仮想環境をHTML内で実現出来るものらしい。クライアントのホストOSの条件や使用APIはどのようなものなのかを調査中だが、大抵のlinux系OSで使えるならばChrome OSの競合優位性にはならないかもしれない。
ただ、22日にmicrosoftがwindows8のライセンス料を70%カットするというニュースを見て、250ドル以下のwindows端末に限定する試みであるにせよ(主にタブレット?)、起動の早さやGoogleのサービスとの連携以上のChromebookの破壊力を感じた。以下に希望観測も含めて可能性をまとめてみよう。
Chromebookの価格は破壊的だ。amazon.comで見てもネットブックが200ドル前後だ。windows8搭載ネットブックでも安くて300~500ドルぐらいなので、価格面の訴求力は高そうだ。もしユーザーの利用シーンでインターネットが大部分ならばChromebookで充分であるし、実際に米調査会社NPDによると2013年に米国で売れたノートパソコンの21%はChromebookであるという。
この価格帯は新興国の人々にとってもPCを購入する機会を提供するのだろう。ただ、インターネットの利用を前提とするのでインターネット回線が遅い地域での普及がどれほど進むのだろうか。
また、法人顧客にとっても簡単な作業やWeb上での作業のためのPC用という用途の場合にVDI等で様々なソリューションが出てくるのではないだろうか。
バックアップ
バックアップは基本的にGoogle Driveを使うようだ。ただ、現Google会長のエリック・シュミットがSunMicrosystems出身であることから"zfs"のような柔軟なバックアップを実装してくれないか興味がある。dankogai氏のエッセイでmacに何故"zfs"が実装されなかったのか、もし実装されていたらどうなったか、というようなことが書いてあった。MacのTimeMachine機能などがファイル単位でもっと細かくバックアップできるなど多くの利点がありそうだ。もしChrome OSにそのようなファイルシステムが実装されたならば価格以上の訴求性を持つだろう。ただ次の公式ドキュメントを見る限り今のところはなさそうだ。 http://www.chromium.org/chromium-os/chromiumos-design-docs/filesystem-autoupdate
Chrome OS
Chrome OSで動くアプリケーションを基本的にhtmlで書けるようだ。
昨日、Firefox OSを搭載した25ドルのスマートフォンが発表されたが(http://eetimes.jp/ee/articles/1402/26/news059.html)、その25ドルという低価格もそうだが、HTMLでアプリケーションが作れるというメリットも重要だろう。ゲームなどでの大量の処理を必要としない限りネイティブで作る必要は実際にほとんどなく、開発のし易さやHTMLの可能性を考えると開発者のエコシステムが容易に大規模に形成されるのではないだろうか。結果として、豊富なアプリケーション群を持つ魅力的なプラットフォームとして、新興国などでデファクトスタンダードを握ってしまうのではないか。
ところで、Firefox OS用のアプリケーションはChrome OSに移植するにはどうすれば良いのだろうか?
Chrome OSのビジョンについてはこのビデオがとても分かりやすい。
http://www.youtube.com/watch?v=0QRO3gKj3qw
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