全球観察

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書評「SONYの旋律」

この本は面白すぎますね。何故新刊で手に入らないのでしょうか。
「ソフトとハードは車の両輪」的なソニーのビジネスモデルが結構分かった気がします。ハードでの継続的なイノベーションマーケティングをするためには、ソフトの資産が必要、ということなのだと理解しました。1968年頃のCBSレコードを日本で大量生産するために作った工場がCDやPSソフトの大量生産工場に変化したこと、PS事業もそもそもは任天堂にCD-ROMを売ることが契機であったこと、「VHSとベータマックス」の規格戦争でコンテンツが勝敗を左右したことなども示唆的に感じました。

アップル社がapple musicなりapple tvなりを展開しているのを見ると当時のソニーは非常に先駆的であったのではないでしょうか。個人的には、マイクロソフト社などがnetflixを買収するなどして、ソニーが1989年にコロンビア・ピクチャーズを買収したことの先駆性を改めて世界に再認識して欲しいところです。

1979年のソニー生命設立前にソニーの輸出貨物保険の延長で再保険事業をしていたり、プレステのコントローラーは著者の趣味の飛行機の操縦管に着想を得ている側面があったりなど知らないエピソードも多かったです。

1984年の総会屋対策としての13時間の株主総会も当時の日本企業のガバナンスを考えると凄い勇気と信念のあることに見えます。何故他の企業(特に金融機関)が同じことを出来なかったのでしょうか。

ソニーは井深さんと盛田さんのイメージが強いですが、大賀さんがいなければ全然違う会社になっていたと思います。つくづく組織は人であることを痛感しました。