『神待ち少女』という本を読んだ。
著者の黒羽氏 によると近年、泊まれる場所や食事を肉体的な報酬なし=無償で提供してくれる人を待っている少女達がいるそうだ。そうした背景には両親などからもらえなかった「無償の愛」や「終わらない日常」へのスリルを求める心理があるのだという。
ただそうしたスタイルは発見されてなかっただけで、今までもあったのかもしれない。そういう意味でこの本はそのような少女たちの物理的な時代的な出現条件をより明確に考察した方がより時代的価値があったかもしれない。インターネットやデバイスの発達もあまり関係なさそうで、与える側の男性の心理にも変化はなさそうだ。ただ、家出少女たちの心理や援助交際も変容していて、それらは同時に家族や女性の自己愛や男性の現代的姿を反映しているのかもしれない、と思った。
インタビューの形式や出典などはもう少し客観性があった方が信憑性があった。ただ、「神待ち少女」たち・他の同年代の少女たち・「神待ち少女」たちの両親・「神待ち少女」たちに与える男性たちなど多面的に現象を捉えようとしているのでページをめくる手はなかなか止まらなかった。
いずれにせよ、こうした少女たちのストーリーは、今私が生きている日本社会を少しリアルに描いてくれた。