全球観察

全世界の様々なトレンドを記録していきます。

書籍「会社という迷宮」

経営コンサルの方が書いた「会社に関する議論」のエッセイ本でした。何故日本の経営者はすぐに安売り競争に参加するのか、社外取締役は形式的な存在以上の価値があるのか、経営者にも「疎外」概念があるのか、みたいなことを考えたりしたことがあったので、…

書評『武器になる法学』

以前読んだ『法律の使い方』のような素晴らしい法律入門書でした。こちらの方が、法律というルールでゲームをどう楽しむか、みたいな感じがしました。それにしても、法律家の「経験則」とか「目的・原則から考える思考」とかこの辺が一番むずかしい気がしま…

書評『法律の使い方』

法律は利益衡量のツール、みたいな観点で法律の使い方を具体的に説明した本で非常に参考になりました。ほとんどの事案は、法律の条文に事実をあてはめるだけで解決する、法解釈が重要になるケースは少ない、法律自体が無いことはもっと少ない、というのは興…

書評『メカニズムデザインで勝つ』

オークション、マッチング、意思決定でこんなにたくさんのアルゴリズムがあるのだと言うのが面白かったです。 オークションの「当事者の納得感」「宣伝効果」「セカンダリーマーケットの形成」など価格決定以外の部分も興味深いです。電波オークションをした…

書評『ビジネススクール意思決定入門 』

ビジネス上の意思決定に関するトピックをまとめた本で、面白かったです。いろいろな設問がありましたが、結構間違えてしまいました。 この本の最初の方にあった震災後のディズニーランドの営業再開や東京オリンピックが決定する前の土地売買などのケーススタ…

書評『法学を学ぶのはなぜ?』

ルールに関する入門書です。ニューヨークの外交官の路駐の実証分析、福島県立大野病院事件、産廃に関する実際の司法試験問題、などなどサッと読めましたが結構面白かったです。特に、仮病防止の観点で追試ルールをどう作るかなどの立法的なところが一番面白…

書評『この世で一番おもしろいミクロ経済学』『この世で一番おもしろいマクロ経済学』

漫画でミクロ経済学とマクロ経済学の概要について解説した本でした。ひとまずこういう入門書のスタイルは良いなと思いました。思っていたよりもミクロ経済学とマクロ経済学の概要はすでに知っていたようだったので、もう少し分厚い教科書みたいな本も読み進…

書評『刑法的思考のすすめ』

論理パズルみたいな面白い本でした。 立法、他国との刑法条文比較、辺りが一番興味深かったです。paypal創業初期などは詐欺罪っぽい疑惑も捜査当局からあったり、サブプライムローンのような詐欺的商品を売っても金融関係者で有罪になる人はほとんどいなかっ…

書評『世界の一流企業は「ゲーム理論」で決めている』

囚人のジレンマを回避するには「規制」「カルテル化」「報復」「信頼の構築」「継続的関係性」などがあり、囚人のジレンマになるようなケースは実は少ないというような考え方から、具体的にいくつかのケースでゲーム理論を使って改善策を考えてみる、という…

書評「ホーキング、未来を語る」

子供のころに読んで良く分からなかった本を読みたくなったので、読んでみました。 宇宙論や量子力学に関する何となくの知識があると、そうした知識が生まれた歴史的背景なども踏まえて日本の類書にはないような説明もあり、興味深かったです。 ホーキングさ…

書評「元素周期表で世界は全て読み解ける」

元素周期表周りの本で、結構面白かったです。 メモ: ・電子の軌道は「主量子数」「方位量子数」「磁気量子数」で決まる(p50) ・原子核の結合エネルギーは鉄が一番安定(p66) ・太陽系に存在する元素の重量比では70%が水素、27%がヘリウム 太陽系の元素組成 - …

書評『アメリカ金融革命の群像』

アメリカの個人向け金融サービスの発展に関する本で、知らない固有名詞が非常に多かったですが、結構楽しめました。 ひとまず「なぜJCBは単なるクレジットカード会社で終わったのか」「なぜ日本ではMMFが普及しなかったか」「なぜ日本のひふみ投信みたいのは…

書評『トランプ自伝』

1987年出版の本ですが、結構面白く読めました。トランプさんの文章は読みやすいというか、今とあんまり変わらないなという印象です。様々な不動産取引を結構細かく記載していますが、相手方は大丈夫だったのでしょうか。サムゼル氏と同じく資金調達は資本市…

書評『逆張り投資家サム・ゼル 』

アメリカの不動産王の一人サムゼルさんの自伝です。 ブラックストーンにREITを売却した経緯も含めてやや詳細な交渉過程が面白かったです。開発というよりは景気動向の把握と不動産管理に長けていた感じなんですかね。 アメリカでの不動産の資金調達や資本市…

書評『アメリカ住宅金融の仕組みと証券化』

リーマンショック及びそれ以降のアメリカの不動産市場を理解する上では必読書な気がします。出版時期も2013年10月で、ちょうどアメリカ不動産市場が急成長し始めるときの雰囲気も感じられます。特に、第四章の証券化の仕組みが参考になりました。 アメリカ住…

書評『世界経済危機とその後の世界』

リーマンショック以降の世界について、色々な論点があり面白い本でした。 「証券化時代の信用創造と自己資本規制のあり方」「ドイツの状況及びドイツ銀行の苦境」辺りが特に面白かったです。観念的な正義を政治が無理に押し付ける、金融機関の倫理の低さ、怪…

書評『銀行カルテ』

2008年のリーマンショック及びそれ以降の金融業界について凄く分かりやすくまとまっている本でした。また、データも多く細かな記述の正確性が信頼出来そうなのもうれしいです。案外こういう短く事実を網羅した本が英語では無い気がします(文章が長いドキュメ…

書評『世界同時不況』

リーマンショックから1年後ぐらいに出された本で、当時の雰囲気がわかって興味深いです。 公的資金投入の難しさ(p175)、金利が上がると住宅価格が上がるアメリカの住宅市場(p140)、ヨーロッパの住宅バブル(p159)、ヨーロッパではデンマーク以外は10年固定ロ…

書評『リーマンショック10年目の衝撃』

米国議会のリーマンショックに関する報告書の一つであるThe Financial Crisis Inquiry Reportなどを参照しつつ、サブプライム問題だけでなく、戦略的デフォルト 、ドル不足に対応できない・2008年7月の利上げ・2011年の利上げ等のECBの無能、流動性の危機、a…

書評『The Financial Crisis Inquiry Report』

アメリカ議会のリーマンショック後の報告書の一つです。以前読んだwall street and the financial crisis報告書はググってもあんまり情報なかったのですが、こちらはFCICとかFinancial Crisis Inquiry Commisionとかでググると結構日本語の情報がありました…

書評『Wall Street And The Financial Crisis: Anatomy Of A Financial Collapse』

世界金融危機後に米国議会が調査した報告書は何個かあるみたいですが、そのうちの1つです。政治的にどういう意味があるのか良くわからないですが、トッドフランク法成立後(OTSは廃止)に報告書は公開されたようです(小委員会のサイト 、提出された資料を集約…

書評『house of cards』

amazonのレビューで大絶賛されていたので読んでみましたが確かに結構面白かったです。この本も翻訳されていないのが不思議でした。ocr→word文書は上手くいったのですが、deepl翻訳があまりこなれた文章にならなかったのが残念でした。 全部で3章あり、「ベア…

書評『all the devils are here』

2008年の世界金融危機の原因について、多角的に分析したエッセイみたいな本です。ひとまずこの本が翻訳されていないのはかなりびっくりするぐらい面白かったです。 登場する組織は非常に多岐に渡り、世界金融危機は複合的な要因によりもたらされたことが示唆…

書評『リーマンショック・コンフィデンシャル』

凄く面白い本でした。著者はたまにcnbcで見るなぐらいな印象だったのですが、こんなに面白い本を書いていたんですね。 リーマン・ブラザーズが倒産する前後の物語をここまで面白く書けるのが凄い!と率直に思ってしまいました。 もちろん「リーマンショック…

書評『ウォーレン・バフェット華麗なる流儀』

バフェット氏はあまり関係ない本でしたが、意外に知らない事実が多く面白かったです。参考文献がごっそり翻訳されていないのが残念でした。 2008年の世界金融危機は「リーマンショック」とされていますが、ベア・スターンズとかメリルリンチの活動の方がより…

書評『史上最大のボロ儲け』

「世紀の空売り」と同じようなテーマについて扱っていますが、この本では2007年に150億ドル、2008年に50億ドルの利益をあげたとされるJohn Paulson氏が主な主人公となっています。なお、Paulson自身はあまりこの本が好きではないようです。 この本に少し出て…

書評『リーマンショック 5年目の真実』

リーマンショック前後の出来事がコンパクトにまとめられてあり面白かったです。強いて言うならば、2007年1月9日に発表されたiphoneがどの程度米国経済の回復に貢献していたのかとかドバイショック とかももう少し知りたかったです。 何故か欧州ソブリン危機 …

書評『創始者たち』

640ページぐらいある本でしたが、不思議なくらいあっという間に読めてしまいました。 現代のスタートアップのhard thingsは大体含まれているような気はしました。あと、イーロン・マスク氏がtwitterで模索している背景に総合金融的なことを志した過去がある…

書評『愚者の黄金』

「世紀の空売り」を読んだあとに、この本にはあまり出てこなかった商業銀行JPモルガンは何故リーマンショックでほとんどダメージがなかったのか知りたく、読んでみましたが結構面白かったです。 いわゆるCDSを最初に商品化したのもJPモルガンだったんですね…

書評『世紀の空売り』

なかなか面白い本でしたが、結局2016年頃に住宅価格は2006年頃の最高値を越えていることを考えると、当時住宅価格が大幅に下落することを予見するのは容易ではなかった、更にその下落が金融市場にも多大なる影響を及ぼすことを予見するのは容易ではなかった…