全球観察

全世界の様々なトレンドを記録していきます。

書評

書評『アメリカ金融革命の群像』

アメリカの個人向け金融サービスの発展に関する本で、知らない固有名詞が非常に多かったですが、結構楽しめました。 ひとまず「なぜJCBは単なるクレジットカード会社で終わったのか」「なぜ日本ではMMFが普及しなかったか」「なぜ日本のひふみ投信みたいのは…

書評『アメリカ住宅金融の仕組みと証券化』

リーマンショック及びそれ以降のアメリカの不動産市場を理解する上では必読書な気がします。出版時期も2013年10月で、ちょうどアメリカ不動産市場が急成長し始めるときの雰囲気も感じられます。特に、第四章の証券化の仕組みが参考になりました。 アメリカ住…

書評『世界経済危機とその後の世界』

リーマンショック以降の世界について、色々な論点があり面白い本でした。 「証券化時代の信用創造と自己資本規制のあり方」「ドイツの状況及びドイツ銀行の苦境」辺りが特に面白かったです。観念的な正義を政治が無理に押し付ける、金融機関の倫理の低さ、怪…

書評『銀行カルテ』

2008年のリーマンショック及びそれ以降の金融業界について凄く分かりやすくまとまっている本でした。また、データも多く細かな記述の正確性が信頼出来そうなのもうれしいです。案外こういう短く事実を網羅した本が英語では無い気がします(文章が長いドキュメ…

書評『世界同時不況』

リーマンショックから1年後ぐらいに出された本で、当時の雰囲気がわかって興味深いです。 公的資金投入の難しさ(p175)、金利が上がると住宅価格が上がるアメリカの住宅市場(p140)、ヨーロッパの住宅バブル(p159)、ヨーロッパではデンマーク以外は10年固定ロ…

書評『リーマンショック10年目の衝撃』

米国議会のリーマンショックに関する報告書の一つであるThe Financial Crisis Inquiry Reportなどを参照しつつ、サブプライム問題だけでなく、戦略的デフォルト 、ドル不足に対応できない・2008年7月の利上げ・2011年の利上げ等のECBの無能、流動性の危機、a…

書評『house of cards』

amazonのレビューで大絶賛されていたので読んでみましたが確かに結構面白かったです。この本も翻訳されていないのが不思議でした。ocr→word文書は上手くいったのですが、deepl翻訳があまりこなれた文章にならなかったのが残念でした。 全部で3章あり、「ベア…

書評『all the devils are here』

2008年の世界金融危機の原因について、多角的に分析したエッセイみたいな本です。ひとまずこの本が翻訳されていないのはかなりびっくりするぐらい面白かったです。 登場する組織は非常に多岐に渡り、世界金融危機は複合的な要因によりもたらされたことが示唆…

書評『リーマンショック・コンフィデンシャル』

凄く面白い本でした。著者はたまにcnbcで見るなぐらいな印象だったのですが、こんなに面白い本を書いていたんですね。 リーマン・ブラザーズが倒産する前後の物語をここまで面白く書けるのが凄い!と率直に思ってしまいました。 もちろん「リーマンショック…

書評『ウォーレン・バフェット華麗なる流儀』

バフェット氏はあまり関係ない本でしたが、意外に知らない事実が多く面白かったです。参考文献がごっそり翻訳されていないのが残念でした。 2008年の世界金融危機は「リーマンショック」とされていますが、ベア・スターンズとかメリルリンチの活動の方がより…

書評『史上最大のボロ儲け』

「世紀の空売り」と同じようなテーマについて扱っていますが、この本では2007年に150億ドル、2008年に50億ドルの利益をあげたとされるJohn Paulson氏が主な主人公となっています。なお、Paulson自身はあまりこの本が好きではないようです。 この本に少し出て…

書評『リーマンショック 5年目の真実』

リーマンショック前後の出来事がコンパクトにまとめられてあり面白かったです。強いて言うならば、2007年1月9日に発表されたiphoneがどの程度米国経済の回復に貢献していたのかとかドバイショック とかももう少し知りたかったです。 何故か欧州ソブリン危機 …

書評『創始者たち』

640ページぐらいある本でしたが、不思議なくらいあっという間に読めてしまいました。 現代のスタートアップのhard thingsは大体含まれているような気はしました。あと、イーロン・マスク氏がtwitterで模索している背景に総合金融的なことを志した過去がある…

書評『愚者の黄金』

「世紀の空売り」を読んだあとに、この本にはあまり出てこなかった商業銀行JPモルガンは何故リーマンショックでほとんどダメージがなかったのか知りたく、読んでみましたが結構面白かったです。 いわゆるCDSを最初に商品化したのもJPモルガンだったんですね…

書評『世紀の空売り』

なかなか面白い本でしたが、結局2016年頃に住宅価格は2006年頃の最高値を越えていることを考えると、当時住宅価格が大幅に下落することを予見するのは容易ではなかった、更にその下落が金融市場にも多大なる影響を及ぼすことを予見するのは容易ではなかった…

書評『ビッグディール 上下』

1998年に原著の本です。非常に面白かったのですが、人生のもっと早い時期に読んでいたら良かったかもしれません。 現代の資本主義、アメリカ社会、ゲームのルール、そうしたものがよく分かる本でした。内容的には結構古いと思うのですが、未だに日本の資本主…

書評『ウォーレン・バフェットはこうして最初の1億ドルを稼いだ 等々』

バフェット氏のこれまでの取引に関する本を2つ読みました。これほど各取引の詳細が公開されていて、かつ会計士の署名もある場合も多いのが凄いです。バフェット氏が何を考えたのか、だけは想像になってしまいますが、これだけ事実が積み重なると想像するのも…

書評『バフェットからの手紙 第4版』

2015年の段階の「バフェットからの手紙 第4版」を読みました。以下メモです: ・CEOに金銭貸与して自社株を買ってもらうようなことをしていたのが印象的。ソフトバンクを想起した。今はもうしていないのだろうか。 ・アメックスを売ろうとしていたが、ゴルフ…

書評『ビジネスは人なり 投資は価値なり』

バフェット氏の1994年頃までの活動を大まかに知れる本でした。ただ、細部までは書き込まれていない、プライベートに関してはバフェット氏がそう見せたい演出的可能性、とかもあるかなと思いました。 幼少期のオハマに帰ろうとする描写が印象的でした。全体的…

書評『金融庁戦記』

知らない中堅役人さんの伝記でしたが、結構面白かったです。 限られたリソースでのコスパ重視? ライブドア事件など、「課徴金」で良いのではとか、「堀江主犯」にするために真実が捻じ曲げられていないか(p133)、検察の捜査でライブドアの「株価暴落」とか乱…

書評『ゴールドマン・サックスM&A戦記』

ほとんどが知らない案件でしたが、楽しく読めました(三菱商事のローソンへの出資ぐらいはあってほしかったですが)。GEキャピタルの長銀資産の買取が事業譲渡ではなく株式売買のカタチになったときにどのようにリスクがヘッジされたのか(瑕疵担保条項とかあっ…

書評『GEのリーダーシップ』

最近のアメリカの著名人の回顧録にも関わらず、写真が一切無い本でした。 以前、「GE帝国盛衰史」の方は読んでいましたが、必ずしも何か認識が劇的に変わるとかはなかったですかね。 30万人を雇用する大企業のトップはこんなに大変なのか、というのがひとま…

書評『バフェット』

「不思議の国のM&A」が参考になったので同じ著者のバフェット本を読みました。内容的に結構網羅的で、書いてある内容も信頼出来る気がしました。ただ、この本は1999年に出版されていますが、著者の頑張って砕いて説明している文章を読んでいると、日本社会の…

書評『やっぱり会計士は見た! 』等

ある年の設備投資やM&Aの価値を次年度以降のROAや営業キャッシュフローで確認する感覚は大事にしていきたいです。 やっぱり会計士は見た! 本当に優良な会社を見抜く方法 (文春e-book) 作者:前川 修満 文藝春秋 Amazon ファイナンスに関する基本的な内容が書…

書評『法廷会計学と粉飾決算』

2008年頃に日本で怪しい決算書を提出していた会社に関する分析です。結構面白かったです。 CCCがマイナスのNOVAは悪い意味でのAmazonみたいなことをしていたのが興味深かったです。(リースの会計基準が違うので)日本航空のファイナンスリースみたいなことはG…

書評『不思議の国のM&A』

2006年~2007年頃のM&AやTOBに関する議論が分かるような本でした。 三角合併導入に関する章を読んでいて、日本の経済界がこの頃から既に保身的であったのが印象的でした。経団連は三角合併導入の延期を申し入れたそうですが、欧米の同業他社との時価総額が違…

書評『GE帝国盛衰史』

2023年6月13日のGEの株価が106ドルぐらいなのですが、それは27年前の1996年頃の水準であり、23年前の2000年につけた高値の21%程度と、「衰退」してしまったGEの歴史に関する本です。 uberのときもそうだったのですが(ちなみにGEのイメルト元CEOはuberのCEO候…

書評『決戦!株主総会』

日本企業のガバナンスはここまで凄くなった、みたいな本でしたが、細部にダサい感じが漂っているような本でした。 指名委員会等設置会社のLIXILのCEOだった瀬戸氏は、指名委員会でCEOの退任を求められたとの電話を創業家・旧CEOの潮田氏からもらい、取締役会…

書評『解任』

以前読んだ粉飾決算に関する本でオリンパスが取り上げられていたので読んでみたのですが、正直少し期待外れかもしれません。少なくともCEOの器にある人の書いた文章ではないと思います。 外国人の生え抜き社員はどういう感じなのか、外国人取締役がいること…

書評『心を鍛える』

堀江氏の本と藤田氏の本を読んだので二人が対談するとどうなるだろう、ということで急いでその辺の本屋で立ち読みしてきました。 内容的には、すでに読んだ本とほとんど同じかなと言う感じでした。 藤田氏に関しては、abemaを何故、IGポートと連携したnetfli…